セミナーを成功させてBtoB企業が商談・受注に繋げるためには?
セミナー

はじめに
マーケティング手法の多様化に伴い、その一環であるセミナーにも、改めて注目が集まっています。
BtoBビジネスを営む企業においても、セミナーの開催は、商談や受注に繋げるための有意義な活動として、より重要視されるようになりました。
そこで本記事では、BtoB企業がセミナーを成功させるための基本的な流れや、押さえておきたい10のポイントについて、詳しく解説します。
BtoBセミナーを成功させるための基本的な流れ
BtoB企業がセミナーを開催する際には、成功させるための基本的な流れが存在します。
まずは流れにおけるそれぞれのプロセスを把握し、1つひとつ確実に進めることが大切です。以下より、BtoBセミナーを成功させるための基本的な流れについて、解説します。
セミナーの企画
BtoBセミナーを企画するプロセスでは、主に以下を決定します。
- 目的
- ターゲット
- テーマやタイトル、内容
- その他概要
BtoBセミナーを成功させるためには、まず目的を明確に定めることが重要です。目的が、商談や受注を獲得することであれば、「〇〇件獲得」など、明確な数値まで定めましょう。
セミナーの目的を定めることで、次にターゲットが具体的に見えてきます。ターゲットは対象となる企業の業界・業種はもちろん、担当者の所属部署や役職まで絞り込むのが理想です。
ターゲットを具体化するほど、この後に続くテーマ設定やタイトル作成などのステップが、スムーズになるからです。
次に、ターゲットのニーズや興味・関心に沿って、セミナーのテーマを設定のうえ、タイトルや内容を詰めていきます。
特にタイトルは集客に影響する重要な要素ですので、慎重に決めることが大切です。
また、「オンライン(ウェビナー)で実施するか、会場を確保してオフラインにするか」「どれくらいの参加者を見込むか」などの概要もこの段階で決めておきましょう。
企画のプロセスは、セミナー開催における基本的な流れのなかでも特に重要です。ここが中途半端な状態では、その後いくら周到に準備しても、決して成功には繋がりません。
そのため、次章で解説するセミナーを成功させるためのポイントについても、企画のプロセスにおけるものが多くなっています。
事前の準備
BtoBセミナー開催における事前準備のプロセスでは、主に以下を実施します。
- 登壇者の選定・オファーを行う
- 登壇時のプレゼン資料を作成する
- 日程を定めウェビナー開催の場合はツールの準備、オフライン開催の場合は会場の手配・予約を行う
- 有料の場合は、参加費・支払い方法を決定する
- スタッフを確保し役割を分担する
- 専用のWebページ・申し込みフォームなど必要なものを揃える
また、登壇者が決定し、資料などの準備が整った段階で、本番を想定したリハーサルを必ず実施しておくことも重要です。
リハーサルでは、机上では認識できなかったさまざまな課題が見えてくることがあります。それを解消することで、セミナーがブラッシュアップされていくのです。
告知・集客
BtoBセミナーにおける告知・集客は、さまざまな手法のなかから、自社に合ったものを選定して実施します。主な告知・集客の手法は以下の通りです。
- プレスリリースを発信する:プレスリリースを発信し自社のセミナー開催をメディアに取り上げてもらう
- 自社サイト・オウンドメディアに掲載する:自社のWebサイトやオウンドメディアにセミナー情報を掲載する
- Web広告を出稿する:リスティング広告やディスプレイ広告などセミナー開催についてのWeb広告を出稿する
- SNSに投稿する:セミナーの情報をFacebook・Twitter・InstagramなどのSNSに投稿する
- メール配信を行う:自社のメールマガジンや他社メディアのメール配信サービスを利用してセミナー情報を告知する
- セミナー集客サイトを利用する:有料・無料を問わず数多く存在するセミナー集客サイトを利用する
重要なのは、セミナーの内容・ターゲットとなる企業や担当者・自社のマーケティング戦略などを十分考慮のうえ、適切な手法を選定することです。
また、集客を最大化するためには、単一の手法に頼るのではなく、複数の手法を組み合わせてシナジー(相乗効果)を生み出すことも必要となります。
当日の運営
いよいよセミナー本番となりますが、ここまでのプロセスが滞りなく完了していれば、大きな不安を抱える必要はありません。
とはいえ、予期せぬトラブルなどに慌てることのないよう、以下を確実に実施しておくことが重要です。
- ツールや通信状態のチェック(ウェビナー開催の場合)
- 会場や機材のチェック(オフライン開催の場合)
- スタッフの配置や役割分担のチェック
- 最終確認の打ち合わせ
- 当日のリハーサル
オフライン開催の場合、当日のリハーサル実施は会場や時間などの問題で叶わないケースもありますが、少なくとも、本番を想定した進行の確認や機材・照明の調整は事前に実施しておくと安心です。
アフターフォロー
当然のことながら、BtoBセミナーを成功させるためのプロセスは、セミナーを開催したら終わる訳ではありません。
参加者との商談やその後の受注に持ち込むためには、アフターフォローのプロセスが重要になります。アフターフォローで実施する主な内容は以下の通りです。
- アンケートを実施する
- お礼メールを送る
- 今回のセミナーに関連する製品やサービスがあれば紹介する
- 次回のセミナーに向けた告知を行う
アンケートはセミナー終了直後に実施するケースもありますが、それも含めてこれらの内容全てをお礼メールに盛り込んでしまっても問題はありません。
ただ、全参加者に対して一律的にメールを送るのではなく、重要な参加者には個別の内容で送るなど、適宜工夫すると商談・受注に繋がる可能性が高まります。
また、お礼メールとは別に、必要に応じて電話や訪問など個別のアプローチを行い、商談・受注に繋げるためのアクションへ誘導することも大切です。
BtoBセミナーを成功させるための10のポイント
BtoB企業がセミナーを開催する際には、成功させるための基本的な流れとともに、押さえておきたいポイントが存在します。以下より、BtoBセミナーを成功させるための10のポイントについて、解説します。
セミナーの目的をはっきりと定める
BtoBセミナーの成功は、まず目的をはっきりと定めることから始まります。
目的は、以後全てのプロセスにおける拠り所ともいえ、非常に重要な要素です。BtoBセミナーにおける目的の主な例としては、以下のようなものがあります。
- 新規リード(見込み顧客)〇〇件獲得
- 既存顧客への追加プローチ(アップセル・クロスセル)による売上〇〇%アップ
- 特定の製品・サービスにおける受注〇〇件獲得
目的は、具体的であるほど、以後のプロセスにおける指針が明確になり、スムーズに進めることが可能となります。「〇〇件獲得」「〇〇%アップ」など、明確な数値まで定めておくことが理想です。
また、目的により、セミナーのターゲットやテーマ・内容も変わってきます。
さらに、自社で社内稟議を通し、関係者の共通意識を醸成して、積極的な協力を得るためにも重要です。セミナー開催後、成否を判断する際の基準にもなります。
セミナーのターゲットを明確にする
BtoBセミナー成功のためには、ターゲットを明確に決めることも重要です。ターゲットは、目的とともに、セミナーの内容にも大きく関わる大切な要素となります。
ターゲットは、目的に沿った形で具体的に設定します。目的が新規リード(見込み顧客)の獲得であれば潜在顧客や顕在顧客、アップセルやクロスセルであれば既存顧客、といった具合です。
また、対象となる企業の業界・業種はもちろん、担当者の所属部署や役職まで絞り込んでおくことが理想です。
さらに、顧客の購買行動における意識の変化を表したマーケティングファネル(認知/興味・関心/比較・検討/行動)のどの段階にいるターゲットをメインにするのか、というところまで具体化すると、ターゲットの求めているものが明確に見えてくるため、その後のテーマ設定やタイトル作成などのプロセスがスムーズになります。
ターゲットの興味・関心に合わせたテーマ・内容を設定する
セミナーのテーマや内容を、ターゲットの興味・関心に合わせることも、BtoBセミナーを成功させるためのポイントとなります。
当然のことながら、テーマや内容はセミナーの核となる部分であり、ターゲットの集客や参加者の満足度にも大きく影響する要素です。
明確に設定したターゲットの興味・関心やニーズ、求めている事柄やその理由などを検討し、それに沿ったテーマを決めます。
テーマが決まったら、それを構成する要素を内容に落とし込んでいきます。複数の関係者でアイデアを出し合いながら、慎重に検討したいプロセスです。
なお、ターゲットの興味・関心を知るためには、これまでに寄せられたお問い合わせの内容や、過去に開催したセミナーの参加者アンケートが、大いに参考になります。
メリットやベネフィットを盛り込む
メリットは、セミナー独自の特徴やアピールポイントのことです。
ベネフィットは、参加者やその所属企業がセミナーから得られる利益や便益を指します。
つまり、メリットはもちろん、ベネフィットまで掘り下げて、セミナーの内容に盛り込むことで、参加者の満足度が大きくなります。BtoBセミナーを成功させるためには、これも大切なポイントです。
また、セミナーのタイトルやキャッチコピー、Webサイトにおける掲載情報などにも、メリットやベネフィットを明確に含めておくことで、開催前のアピールとなり、集客にもプラスの影響が期待できます。
興味・関心を惹くタイトルを付ける
セミナーの目的やターゲット、テーマなどを基に、興味・関心を惹くタイトルを付けることも、BtoBセミナー成功のためのポイントです。
セミナー開催において、タイトルは集客に大きく影響する重要な要素です。数あるセミナーのなかから自社のセミナーを選んでもらうためには、タイトルだけで他のセミナーとの差別化を図り、ターゲットの参加意思を喚起しなくてはなりません。
セミナーのタイトルを興味・関心を惹く魅力的なものにするには、盛り込むべき要素があります。「ターゲットは誰か」「メリットやベネフィットは何か」などです。明確な数字を含めて、具体化するのも効果的です。
なお、セミナータイトルを付ける際のポイントについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
⇨セミナータイトルで意識したい10のポイントや集客に繋げる雛形
会場は十分に考えて選ぶ
BtoBセミナーをオフラインで開催する場合、会場選びは重要なポイントです。
セミナーのタイトルやテーマ・内容などと同様、集客に大きく影響する要素となります。「参加したいセミナーなのに、会場を見て断念した」という話は、珍しくありません。
会場選びの際に、注意すべき主なポイントは以下の通りです。
- 交通の便
- 立地環境や周囲の状況
- 広さや雰囲気
- 設備やサービス
ウェビナー開催の場合は、利用するツールの知名度や使い勝手がこれらに相当します。オフラインの会場と同様、慎重に選定することが重要です。
なお、 オフライン会場開催とWeb配信を組み合わせたハイブリットセミナーは、幅広い参加者にアプローチできるため、営業効率の最大化を図ることができる一方、開催にあたっては安定的かつ快適な通信環境の実現や一体感の醸成といった課題があります。
無理のない準備期間を確保する
BtoBセミナーを開催する際は、入念な事前準備が大切です。準備の良否も、セミナーの成功を左右する重要なポイントといえます。
急いで成果を出したいが故、ともすると早めの開催日程を設定しがちですが、BtoBセミナーの開催前には、こなさなければならないタスクが数多く発生します。
企画段階から、無理のないスケジュールで慎重かつ丁寧に準備を進められるよう、十分な期間を確保しておきたいものです。
準備がしっかり整っていれば、安心して開催当日を迎えられ、運営もスムーズになります。
効果的な集客を行う
BtoBセミナーの集客には、自社サイトやオウンドメディア活用のほか、プレスリリース・Web広告出稿・SNS投稿・メール配信など、さまざまな手法があります。
セミナーの告知や集客に特化した専用のサービスを活用するのも有効です。
必要に応じて複数の手法を組み合わせ、効果を最大化させることも考慮に入れながら、ターゲット・セミナーの内容・マーケティング戦略などを加味し、自社に合った適切な手法を選定することがポイントになります。
BtoBセミナーの告知や集客の際には、情報を掲載する媒体などの字数が許す限り、以下の内容を漏れなく伝えるようにします。
- セミナータイトル・テーマ
- 開催の意図や目的・ターゲット
- 日時・会場(ウェビナーの場合は開催方法)
- 参加費・支払い方法(有料の場合)
- 登壇者プロフィール
- 登壇内容
- 申し込み方法
また、申し込んでくれた参加者に対する開催前のフォローも、忘れずに実施することが大切です。
申し込み直後のサンクスメールや、開催直前のリマインドメールなど、抜かりなく実施することで、実際の参加率が向上します。
サンクスメールでは、関連部署や関連取引先などへの誘いを依頼するのも効果的です。
なお、「セミナーの内容がニッチすぎてターゲット範囲が狭すぎる」「集客期間が短すぎる」など、そもそも集客に無理がある場合、状況次第では企画段階から見直す必要があります。
集客期間は、セミナー規模にもよりますが、最低でも2週間、通常1ヶ月以上は確保したいところです。
なお、ウェビナーの場合は、開催日よりもあまりにも早いうちから集客を開始しないよう意識するとよい可能性があります。
ウェビナーは参加者が手軽に申し込みできる分、不参加を選ぶ心理的ハードルも低く、また当日までに期待や熱量が冷めてしまうことがあるようです。
そのため、集客期間は長すぎず短すぎず、「開催者側が余裕を持って準備でき、かつ参加者の熱が冷めない期間」が理想といえます。
適切なタイムスケジュールを組む
セミナー開始から終了までのタイムスケジュールを、余裕をもった適切な内容にすることも、BtoBセミナーを成功させるためのポイントです。
適切なタイムスケジュールを組んだうえで、当日にスケジュール通り進行するには、周到に事前準備しておくことはもちろん、予期せぬトラブルに備え、早めに会場入りして直前のチェックを重ねることも必要になります。
予定したタイムスケジュール通りに運営できず、終了時間を大幅にオーバーしたり全ての内容を消化できなかったりすると、セミナーの目的が達成できないばかりか、企業イメージにも影響する可能性があります。
アフターフォローをしっかりと実施する
BtoBセミナーにおけるアフターフォローは、参加者との商談やその後の受注に繋げるための、大切なプロセスです。
参加者アンケートの実施やお礼メールの配信はもちろん、必要に応じて電話や訪問など個別のアプローチを行います。ポイントは、次のアクションに繋がる導線を案内することです。
セミナーに関連する製品やサービスがあれば紹介するのはもちろん、それが参加者のビジネスに対して、どのように寄与できるのかまで、具体的に言及する必要があります。
そうすることで、参加者が次のアクションをよりイメージしやすくなるからです。
「アフターフォローのプロセスを適切に行うかどうか」は、商談・受注に繋がる可能性に大きく影響します。
BtoBセミナーを成功させるための締めくくりとして、抜かりなく実施することが重要です。
まとめ
以上、BtoB企業がセミナーを成功させるための基本的な流れや、押さえておきたい10のポイントについて、解説しました。
BtoBセミナーを開催するには、人的リソースや時間など、相応のコストが必要となります。
ついては、費用対効果を上げるためにも、確実に成功させる準備を重ねなくてはなりません。
本記事を参考に、セミナー開催における基本的な流れやポイントを押さえたうえで、ぜひセミナーを成功に導いて、多くの商談や受注を獲得してください。