【最新】ブランディング戦略とは|メリット・戦略設計の7ステップ
マーケティング
「自社のブランディング戦略を立て、競合との差別化や顧客からの信頼を得たいが、具体的に何をしたら良いかわからない」
このように思われている会社経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、ブランディング戦略の必要性やメリット、戦略設計のステップ、代表的なフレームワークまで紹介します!
目次
ブランディング戦略とは?
ブランディング戦略とは、「顧客に自社の価値を正しく伝え、選ばれる理由を作る計画」のことです。
単にロゴやデザインを作るだけでなく、会社の理念、顧客との接点、コミュニケーション方法までを統一し、ブランドの印象を高めることが目的です。
なぜブランディングが必要?
企業が市場での優位性を持つために必要です。
ブランディング戦略をせずに事業を進めてしまうと、自社が提供する価値や独自性が顧客に伝わりにくくなり、競合他社に勝つことができず、商品やサービスが埋もれてしまいます。
競争が激しい市場では、単に品質の高い製品やサービスを提供するだけでは他社との差別化が難しくなっています。
ブランディングを行うことにより、製品やサービスが独自の価値を持ち、他の商品との差別化を図ることができるため、企業のブランド価値が高まります。
ブランディング戦略のメリット
具体的にブランディング戦略のメリットについて詳しく見ていきましょう。
1.競合他社と差別化できる
自社の商品やサービスが、競合他社と比べてどのような点で優れているのか、明確な価値提案を打ち出すことができます。
例えば、「高品質」「デザイン性」「サステナビリティ」など、競合他社が提供していない独自の価値をアピールすることで、消費者の心をつかむことができます。
▼例
- 商品やサービスが類似していても、ブランドイメージに基づく購買が増加
- 消費者が「このブランドだから選ぶ」という感情的なつながりを持つ
2.顧客からの信頼を獲得できる
一貫したブランドメッセージやビジュアル、顧客対応を提供することで、信頼性を高めることができます。
信頼は購買意欲を高めるだけでなく、長期的なリピート購入につながります。
▼例
- 品質保証をブランドの一部として強調し、顧客が安心して購入できる環境を提供
- ソーシャルメディアやブログで、顧客の疑問に対応することで「信頼できる情報源」としてのポジションを確立
3.価格競争から脱却できる
強力なブランドは、顧客に価値を提供するため、価格ではなくブランドイメージや体験で選ばれるようになります。
これにより、低価格競争から抜け出し、適切な価格で商品やサービスを提供できます。
▼例
- プレミアムブランドは競合より高い価格でも売れる。例えば、高級車メーカーは性能だけでなくブランドステータスで選ばれる
- ブランド力が高いと値下げせずに利益を確保可能
4.新規顧客の獲得ができる
認知度の高いブランドは、初めて接触する顧客にも安心感を与え、選ばれやすくなります。
また、口コミや紹介による新規顧客獲得も促進されます。
▼例
- 魅力的なブランドストーリーが共感を呼び、SNSでシェアされやすくなる
- ブランドに基づく広告やキャンペーンが効果を発揮し、新しい市場にも進出可能
5.資金調達時にもメリットがある
確立されたブランドは投資家や金融機関に対して、事業の将来性や収益力を強くアピールできます。
信頼されるブランドはリスクが低いと判断され、資金調達がスムーズになることがあります。
▼例
- ブランドが顧客基盤の強さや市場での競争力を証明する材料となる
- ブランド価値が高いと企業全体の評価が上がり、株式公開や投資誘致が有利になる
ブランディング戦略の7ステップ
ここからは、効果的なブランディングを実現するための7つのステップについて詳しく解説します。
1.現状分析と目標設定を行う
ブランディング戦略の第一歩は、自社の現状を正確に把握し、目標を設定することです。
現状分析では、自社の強みや弱み(SWOT分析)、競合のブランド戦略、顧客のニーズなどを調査します。
目標設定では、「認知度を高める」「リピート顧客を増やす」など、具体的で達成可能な目標を明確にします。
▼例
- 自社商品の認知率が現状30% → 1年以内に50%に引き上げる
- 競合との違いを明確にし、新しい市場に参入する
2.ターゲット顧客を明確にする
次に、ブランドが誰に向けて発信するのかを明確にすることが重要です。
ターゲット顧客の年齢、性別、ライフスタイル、価値観などのペルソナ(仮想顧客像)を作成します。
▼ポイント
- 顧客のニーズや課題を理解し、それに応える価値を提供する
- 「顧客視点」を重視して、ブランドのメッセージや体験を設計する
とはいえ、ペルソナの立て方が具体的にイメージできない方もいらっしゃると思います。
そのような方は、以下のコラムでペルソナ設計の基本や、設計手順などを詳しく説明しているので、ぜひお読みください!
→マーケティングの「ペルソナ」とは?具体的な設定手順を紹介【無料テンプレート】
また、ペルソナを立てる際に必要な情報などをまとめたテンプレートを無料でダウンロードいただけますので、ぜひお役立てください!
3.市場における自社のポジションを明確にする
次に、競合との差別化を図るため、自社の市場でのポジションを明確にしましょう。
ブランドの価値提案(Value Proposition)を策定し、競合にはない独自性を強調します。
4.自社のブランドらしさを明確にする
次に、ブランドの「らしさ」を表現するため、ブランドアイデンティティを構築しましょう。
これには、ブランドのミッション、ビジョン、価値観、トーン&マナーなどが含まれます。
▼例
- 「顧客第一主義」「持続可能性を重視」などのコアバリューを定義する
- ブランドが提供する感情的な価値や経験を考える(安心感、楽しさ、信頼など)
5.ビジュアル面のデザインを考案する
次に、ブランドイメージを視覚的に伝える要素をデザインしましょう。
これには、ロゴ、カラー、フォント、デザインガイドラインなどが含まれます。
▼ポイント
- 一貫性のあるデザインを使用し、顧客に覚えやすい印象を与える
- カラー心理学や視覚的トレンドを考慮し、ターゲットに響くデザインを選ぶ
6.ブランドメッセージの策定を行う
次に、ブランドの価値を顧客に伝えるためのキャッチコピーやスローガンを策定しましょう。
また、ブランドのストーリーも一貫性を持って発信する必要があります。
▼ポイント
- メッセージは短く覚えやすいものにする
- ブランドのミッションやターゲット顧客に合ったトーンを採用する
7.実行と評価を行う
次に、策定した戦略を実行し、その効果を継続的に評価しましょう。
評価では、売上、認知度、顧客満足度、オンラインでのエンゲージメントなどをKPIとして設定します。
▼例
- ウェブサイトのトラフィックや広告のCTR(クリック率)を分析する
- 顧客アンケートでブランドイメージや認知度を確認する
ブランディング戦略を策定する際の代表的なフレームワーク
以下では、ブランディングの際に役立つ代表的なフレームワークについて解説します。
SWOT分析
SWOT分析は、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の4つの観点から自社の状況を整理するフレームワークです。
内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を分析し、戦略の方向性を見極める際に役立ちます。
▼活用方法
強み(Strengths) | 自社の競争優位性や得意分野を明確にします。 例: 高い技術力、ブランド認知度、優れた顧客対応 |
---|---|
弱み(Weaknesses) | 改善が必要な点を把握します。 例: 限られたリソース、低い市場シェア |
機会(Opportunities) | 外部環境の変化による成長の可能性を特定します。 例: 新興市場の拡大、トレンドの変化 |
脅威(Threats) | 事業に悪影響を与える要因を見つけます。 例: 競合の増加、規制の変更 |
PEST分析
PEST分析は、外部環境の要因をPolitical(政治的要因)、Economic(経済的要因)、Social(社会的要因)、Technological(技術的要因)の観点で整理するフレームワークです。
マクロ環境を理解し、戦略に影響を与える要素を把握します。
▼活用方法
政治的要因(Political) | 法規制、政策、政治情勢など。 例: 規制緩和による新規事業の可能性 |
---|---|
経済的要因(Economic) | 景気動向、為替、消費者の購買力など。 例: 円安で輸出製品が有利になる |
社会的要因(Social) | 社会の価値観、文化、消費者行動の変化など。 例: サステナビリティへの関心の高まり |
技術的要因(Technological) | 技術革新、ITの普及など。 例: AI技術の進化による新製品の開発 |
3C分析
3C分析は、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から市場環境を分析するフレームワークです。
市場の中での自社の立ち位置を明確にする際に有効です。
▼活用方法
顧客(Customer) | ターゲット顧客のニーズや課題を把握。 例: 顧客が求める価値(品質、価格、利便性など) |
---|---|
競合(Competitor) | 競合他社の戦略や強み・弱みを分析。 例: 競合の価格設定やマーケティング手法 |
自社(Company) | 自社のリソースや競争優位性を明確化。 例: 自社の得意分野やブランド価値 |
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスを知り、購入し、利用するまでのプロセスを可視化するフレームワークです。
顧客視点での体験を設計し、最適化する際に役立ちます。
▼活用方法
フェーズの定義 | 顧客の行動を段階ごとに分ける。 例: 認知→興味→比較→購入→ロイヤル顧客 |
---|---|
顧客の行動を分析 | 各段階で顧客がどのような行動を取るかを整理。 例: 認知フェーズではWeb検索、比較フェーズでは口コミ調査 |
タッチポイントの特定 | 顧客とブランドが接触するポイントを把握。 例: SNS広告、公式サイト、カスタマーサポート |
課題の特定 | 顧客が体験で感じる課題を洗い出す。 例: 購入プロセスが煩雑で離脱率が高い |
ブランディング戦略を成功させるポイント
ブランディング戦略を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
以下に、成功のための具体的なポイントを解説します。
訴求に一貫性を持たせること
ブランディング戦略において、一貫性は顧客に信頼感を与え、記憶に残るブランドを構築するために不可欠です。
一貫したロゴ、デザイン、メッセージ、広告表現は、ブランドイメージを明確化し、顧客に統一された印象を与えます。
ターゲット顧客を深く理解すること
顧客を深く理解することで、彼らが求める価値に合わせたブランドを構築できます。
ターゲット顧客の年齢、性別、興味関心、ライフスタイル、課題などを分析し、訴求ポイントを明確にすることが重要です。
▼具体的な手法
ペルソナの作成 | 顧客の典型像を設定し、ニーズや行動を具体化。 例: 30代の働く女性で、健康に配慮しつつ手軽に食べられる食品を求めている |
---|---|
顧客の声を聞く | アンケートやレビューを分析し、実際のニーズを把握。 |
データの活用 | SNSやWebサイトのアクセス解析を行い、行動パターンを特定。 |
継続的に改善を繰り返すこと
市場環境や顧客のニーズは常に変化します。
そのため、ブランディング戦略も一度構築して終わりではなく、継続的な見直しと改善が必要です。
▼具体的な取り組み
データ分析 | 顧客のフィードバックや市場の動向を定期的にチェック。 例: SNSでのブランドの言及数やトレンド分析。 |
---|---|
テストと学習 | 小規模なキャンペーンや広告を試し、効果を検証。 |
競合調査 | 他社のブランディング活動や成功事例を参考に、自社の施策を比較。 |
成功事例を参考にすること
他社の成功事例を学ぶことで、効果的なブランディング戦略のヒントを得ることができます。
成功事例を分析する際には、その企業がターゲット顧客にどのようにアプローチし、何が評価されたかを深く掘り下げることが重要です。
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まとめ
ブランディング戦略は企業にとって極めて重要な要素であり、顧客からの信頼を獲得し、競合他社との差別化を図るための手段となります。
この記事では、そのブランディング戦略の重要性について解説し、それに伴うメリットや具体的な7ステップの戦略設計方法について説明しました。
マーケットの中での独自のポジションを確立できるよう、本記事で紹介したブランディング戦略を自社に落とし込んで行きましょう!
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