アトリビューション分析とは?基礎知識やメリット、分析の実践方法を解説|セミナーベース

マーケティング

マーケティング課題の一つに、広告費をかけながらも、「その効果を感じられない」「費用対効果が合わない」という点が挙げられます。

そんな悩みを解決するのが、「アトリビューション分析」です。 

この記事では、アトリビューション分析の基礎から、よくある落とし穴、そして具体的な実施方法までを徹底解説します。

予算の無駄を削減し、効果的な施策を打ち出すための具体的な手法を学びましょう。

アトリビューション分析とは

まずアトリビューション分析の基本的な概念と目的についてみていきましょう。

アトリビューション分析とは?

アトリビューション分析は、「マーケティング施策の効果を評価するための手法」の一つです。

簡単に言うと「お客様が商品を購入するまでの道のりを追跡し、どの広告やコンテンツが購入に最も貢献したのかを数値で明らかにすること」です。

例えば、あなたが美味しいケーキ屋さんを見つけたとします。

そのケーキ屋さんにたどり着いたきっかけは、

  • 友達からの口コミ
  • インスタグラムの広告
  • お店の前の看板

など、様々なものがあるかもしれません。

アトリビューション分析は、このケーキ屋さんにたどり着いたお客さんが、どのきっかけでお店を知ったのかを詳しく分析し、それぞれがどれくらいの割合で売り上げに貢献したのかを数値化することです。

多くの消費者は一度の接触で購入するわけではなく、複数の接触ポイントを経由しているため、それぞれの影響を正確に把握することができるのがアトリビューション分析です。

なぜアトリビューション分析が必要?

上記では、アトリビューション分析を行うことで、どの広告やコンテンツがコンバージョンに繋がっているのかを正確に把握できることを説明しましたが、それによる効果は以下の3つです。

  1. 無駄な広告費を削減できる
  2. 効果的な広告とそうでない広告を明確に区別でき、適切な予算配分ができる
  3. 顧客の行動を深く理解できる

 顧客がどのような経路で商品を購入するのかを理解することで、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。

アトリビューション分析をしないと起こる3つの失敗

アトリビューション分析を行わないと、以下のような3つの重大な失敗が発生するリスクがあります。

1. 効果のある施策を止めてしまう

アトリビューション分析を行わずに、直近のコンバージョン(購入や資料請求など)に繋がった施策だけに注目してしまうと、その施策が本当に効果があったのかを正確に評価できません。 潜在顧客の認知度を高めたり、購入意欲を高めたりするなど、間接的に効果をもたらしていたかもしれない施策を止めてしまうことになりうるためです。

2. 効果の低い施策に予算を無駄遣いしてしまう

コンバージョン数が多い施策が、必ずしも費用対効果が高いとは限りません。 例えば、高額な広告費をかけている施策が、他の低コストな施策よりもコンバージョン数を多く獲得していたとしても、費用対効果で見ると、低コストな施策の方が効率的である可能性があります。

3. マーケティング戦略の最適化ができない

効果の高い施策を強化したり、効果の低い施策を見直したりすることができず、マーケティング全体の効率が低下してしまいます。どの施策がどの程度貢献しているのかが分からないため、マーケティング戦略を改善することができず、結果的に売上や会社の成長のスピードが低下してしまいます。

アトリビューションモデルの種類とそれぞれのメリット・デメリット

アトリビューション分析において、どのモデルを選ぶかは成果の正確な把握に直結します。モデルの種類、各モデルの特徴、それぞれのメリット・デメリットについて詳細に解説します。

ラストクリックモデル

特徴 最後にクリックされた広告に、全ての成果を割り当てる手法
メリット 計算が簡単で、初心者でも使いやすい
デメリット 最初の広告や途中の広告の貢献度を全く考慮しないため、顧客の購入プロセスにおいて他の重要なタッチポイントを見逃してしまう可能性がある

例)顧客がFacebook広告をみていたとしても、最後にGoogle広告をクリックして購入した場合、ラストクリックアトリビューションではGoogle広告に全ての価値が割り当てられます。

2. ファーストタッチモデル

特徴 最初に接触した広告に、全ての成果を割り当てる手法
メリット ブランド認知向上に貢献した広告を評価するのに適している
デメリット 他の接触ポイントを見逃すリスクがあるため、一つの媒体だけに過度に依存する可能性がある。
そのため他のアトリビューションモデルとの併用や多角的な分析を行うことが重要。

例)ユーザーが最初にソーシャルメディア広告をクリックして訪問した場合、その後の複数の接触を経て購入したとしても、このモデルではソーシャルメディア広告を評価する。

3. 時間減衰モデル

特徴 最新のタッチポイントに重きを置き、より現代の消費者行動に即した分析が可能
メリット 直近の施策の効果を評価するのに適している
デメリット 初期の段階での貢献も重要視するべきケースでは不適切

例)あるユーザーが1ヶ月前にウェブ広告でクリックし、前日にウェブサイトにアクセスして購入した場合、昨日の直接アクセスの影響力が最も大きく評価される。

 4. リニアモデル

特徴 全ての接触点に、均等に貢献度を割り当てるモデル
メリット 一方的な視点ではなく、公平に影響を評価することが可能
デメリット 各接触点の重要度の違いを考慮できない

例)ユーザーが最初に検索広告をクリックし、その後ディスプレイ広告、そして最後にメールマーケティングを受け取って購入した場合、各タッチポイントが1/3の価値を持つことになります。

5. データドリブンモデル

特徴 過去の膨大なデータを基に、それぞれの接触点の貢献度を統計的に算出する手法
メリット 最も精度の高いモデルであり、より正確な評価が可能
デメリット 大量のデータが必要であり、専門的な知識やツールが必要

6. カスタマージャーニーモデル

特徴 顧客の行動を段階的に分析し、各段階におけるタッチポイントの貢献度を評価する手法
メリット 顧客の行動を深く理解し、よりパーソナライズされた施策を展開できる
デメリット モデル構築が複雑で、専門的な知識が必要

モデル選択のポイント

ここでは、モデル選択の際に、ビジネス目標、マーケティングチャネル、データの質など、最適なモデルを選ぶための主要なポイントについて解説します。

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

ビジネス目標で選ぶ

新規顧客獲得を重視する場合と既存顧客のLTV(顧客生涯価値)向上を重視する場合では、評価基準が異なるため、それぞれに適したモデルを選ぶ必要があります。

例えば、新規顧客獲得を重視する場合には、ファーストタッチアトリビューションモデルが特に有効です。このモデルは最初に接触したチャネルや施策に全ての貢献度を割り当てるため、顧客の最初の興味を引く施策の評価がしやすくなります。

一方、既存顧客のLTVを向上させたい場合は、長期間にわたる複数のタッチポイントの影響を考慮する必要があるため、時間減衰モデルやデータドリブンモデルが適しています。時間減衰モデルは、時間が経つにつれて貢献度が減少するという特性を持ち、古いタッチポイントよりも新しいタッチポイントを重視する評価が可能です。

マーケティングチャネル(媒体)で選ぶ

マーケティングチャネルごとのパフォーマンスを理解することで、どのチャネルにリソースを投入すべきかが明確になり、ROIを最大化する戦略が立てやすくなります。

例えば、SNS広告と検索エンジン広告では、それぞれ異なる効果があります。SNS広告はブランディングや認知度向上に強みがありますが、検索エンジン広告はコンバージョンに強みがあります。これらの特性を理解して、目的に応じたチャネル選択が必要です。また、特定のチャネルに過度に依存しないようにバランスをとることも重要です。一部のチャネルが予算の大部分を消費している場合、そのチャネルの効果を再評価し、他のチャネルも検討しましょう。

データの質で選ぶ

データの収集段階で欠損値が多い場合や、記録されたデータにブレがある場合には、ラストクリックアトリビューションやファーストタッチアトリビューションといったシンプルなモデルが適しています。信頼性の低いデータで複雑なモデルを使用するよりも、シンプルなモデルの方が正確な分析結果を得やすいです。

アトリビューション分析の実践方法

以下では、アトリビューション分析を実践するための手順やツール、そして分析結果の解釈方法について解説します。具体的な手順と事例を交えながら、詳細に解説していきます。

データ収集から分析、レポート作成までの具体的な手順

STEP1. データ収集

ウェブ解析ツールやCRMからデータを取得します。GoogleアナリティクスやAdobe Analyticsなどのツールを使用することで、訪問者の行動履歴やコンバージョンに至るまでの経路を詳細に把握することができます。

STEP2. データ整理

この段階では、収集したデータをフィルタリングし、重複データや不要なデータを除去します。データの一貫性と精度を保つために、データベースをきれいに整えてください。データの品質が高ければ高いほど、後の分析が正確となります。

STEP3. アトリビューションモデルを選んで分析

データ整理が完了したら、次に適切なアトリビューションモデルを選んで分析を行います。ビジネス目標に応じて、最適なモデルを選定し、それに基づいて解析を進めます。

STEP4.レポート作成

分析結果を分かりやすく可視化し、経営層やマーケティングチームに共有します。レポートでは、どのチャネルが最も貢献しているのか、広告費用対効果(ROI)はどうかを整理します。この情報を基に、今後のマーケティング戦略や広告予算の配分を見直すことができます。

以上が、アトリビューション分析を成功させるための具体的な手順です。

マーケティング施策の効果を正確に測定し、最適なプロモーション戦略を立てていきましょう。

アトリビューション分析の注意点

アトリビューション分析を実施する際には、データが不正確だと、分析の結果が誤って解釈される可能性があるため、データの正確性と一貫性には注意しましょう。

また、異なるモデルの結果を比較して、最適な媒体選定を行うことが必要です。

アトリビューションモデルごとに結果が異なるため、単一のモデルだけに頼るとバイアスがかかる可能性があります。

複数のモデルを駆使して実施される柔軟な分析が、効果的なマーケティング戦略につながります。

他のマーケティング施策との連携するメリット

アトリビューション分析は、他のマーケティング施策と連携することで効果を最大化できます。これにはいくつかの理由があります。

1. 相乗効果の最大化

検索広告やメールマーケティングなど、異なる施策を組み合わせると、各施策の強みを活かして全体の効果を高められます。例えば、検索広告で新規顧客を集め、その後メールマーケティングでリテンション(顧客の維持)を強化することで、コンバージョン率が向上します。

2. 効率的な予算配分

アトリビューション分析では、複数のマーケティングチャネル全体のパフォーマンスを評価できます。これにより、どの施策が効果的かを把握し、無駄な広告費を削減しつつ、リソースを効率的に配分できます。

3. PDCAサイクルの活用

定期的な分析と仮説検証を通じて、マーケティング施策を継続的に改善できます。例えば、季節ごとのキャンペーン結果を分析し、次回のキャンペーンでより効果的な戦略を立てられます。

4. データ統合とツールの活用

検索広告やSNS、ディスプレイ広告などのデータを統合し、正確に評価するために、Googleアナリティクスなどのツールを使うことが重要です。これにより、全体のマーケティングパフォーマンスが向上します。

アトリビューション分析を他のマーケティング施策と連携させ、総合的なマーケティング戦略を最適化し、より高い成果を目指しましょう。

まとめ

アトリビューション分析は、マーケティング活動の効果を正確に評価し、広告予算の最適配分や戦略の修正に役立つ重要な手法です。

今回紹介したアトリビューション分析の方法を参考に、自社のマーケティング戦略の改善を目指しましょう。

また、アトリビューション分析を導入したら、定期的にデータを見直し、継続的に改善を図ることが重要です。

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