マーケティングの「ペルソナ」とは?具体的な設定手順を紹介【無料テンプレート】

マーケティング

はじめに

マーケティング戦略において一番重要なのは、顧客一人ひとりを深く理解することです。

顧客は十人十色で、それぞれが異なる価値観やライフスタイルを持っています。

そんな顧客一人ひとりの「理想の顧客像」を具体的に描き出すのが「ペルソナ」です。

ペルソナを設定することで、以下のことが可能になります。

  • お客様の悩みや欲しいものが明確になる
  • どんな言葉で響くか分かる
  • どんな行動をするか予測できる
  • 効果的な広告や商品を作れる

本記事では、ペルソナ設定の設計の基本メリット具体的な設定手順、そして注意点までを初めての方にも分かりやすく解説します。

ペルソナとは?基本から理解する

まずはペルソナとは何か、その基本から理解していきましょう。

マーケティングにおけるペルソナ設定とは?

ペルソナ設定とは、特定の顧客像を詳細に描くことで、マーケティング活動のターゲットを明確にする手法です。

ペルソナ設定を行うことで、顧客のニーズや行動パターンを深く理解し、効果的なマーケティング戦略を構築することができます。

また、ペルソナ設定により、ターゲティングがより精緻になるため、マーケティングの効果を最大化することが可能になります。

▼例
新しい化粧品ブランドの立ち上げ
ターゲットとなる顧客の年齢、性別、ライフスタイル、消費行動などを詳細に分析し、具体的なペルソナを設定
└20代女性をターゲットにする場合、忙しいキャリアウーマンや学生であるかどうか、どんな美容雑誌を読んでいるのか、インスタグラムをどのように活用しているのかなど

このペルソナ設定により、マーケティング活動の精度を高め、ターゲット顧客に効果的にアプローチすることができます。

ペルソナとターゲットとの違い

マーケティングにおいて、「ペルソナ」「ターゲット」という言葉を耳にすることも多いでしょう。

この2つは似たような意味のように思えますが、実は異なる概念です。

ペルソナ

ペルソナとは、架空の具体的な一個人のことです。

年齢、性別、職業、趣味、価値観、抱えている悩みなど、まるでその人が本当に存在するかのように詳細に設定します。

▼特徴
・具体的な人物像
・悩みや欲求を持つ
・行動パターンが明確
・一人ひとりが異なる

ターゲット

ターゲットは、商品やサービスの対象となる集団のことです。

年齢層、性別、地域、収入など、共通の属性を持つ人々の集まりを指します。

▼特徴
・集団としての属性
・広範囲にわたる
・共通点を持つ

ペルソナを設定するメリット

ペルソナを設定することで得られる具体的なメリットについて見ていきましょう。

1.顧客理解の深掘りができる

ペルソナ設定は、年齢、性別、職業、趣味、価値観、抱えている悩みなど、具体的な情報を盛り込むため、顧客理解を深掘りすることができます。

ペルソナの行動パターンを想定することで、どのような情報源から情報を収集し、どのような購買行動をとるのかを予測することができます。

2.ターゲットを絞り込むことで最適なアプローチができる

ペルソナ設計により、単なる「ターゲット層」という漠然としたイメージから、特定の個人に焦点を当てることができ、顧客のニーズにより的確に応える製品を提供することができます。

これにより、ターゲットが本当に求めているもの を明確にし、無駄な訴求を避けることができます。

3.ペルソナ像を共有することでチーム全体の共通認識が生まれる

ペルソナ設定の共有により、マーケティングチームに限らず、商品開発カスタマーサポートなど、顧客に関わる全ての部門において、共通の認識を持って行動することができます。

この共通の認識により、顧客に対するイメージが統一され、異なる部門間での認識のズレ を防ぎ、スムーズなコミュニケーションが可能になります。

例えば、「25歳女性、美容に関心が高い」というペルソナを設定した場合、チーム全体で「このペルソナに合った美容製品を開発する」という共通の目標を持つことができます。

また、ペルソナを基準に議論することで、客観的な判断が可能になります。

例えば、新しい商品を開発する際、「この商品はペルソナのニーズに合っているか?」という視点で評価することで、より良い判断を下すことができます。

チーム全員がペルソナを意識することで、顧客視点を常に意識した行動が可能になり、より良い成果を上げることができます。

ペルソナを設定する上でのポイント

ペルソナ設定は、いくつかのポイントを押さえることでより精度の高いペルソナを設定することができます。

ここでは、ペルソナ設定の際に重要なポイントを解説します。

1.具体的な情報を盛り込む

ペルソナを効果的に活用するためには、具体的な情報を盛り込むことが非常に重要です。
抽象的な表現ではなく、その人が目の前にいるかのように詳細に描くことで、より深い顧客理解へと繋がります。

ではどのような情報を盛り込むべきなのか?
ペルソナに盛り込むべき情報は、大きく分けて以下の3つがあります。

デモグラフィック情報

年齢、性別、職業、学歴、収入など、客観的な属性に関する情報

サイコグラフィック情報

価値観、ライフスタイル、趣味、興味関心、性格など、主観的な属性に関する情報

行動情報

普段どのような行動をとっているか、どのようなメディアを閲覧しているか、どのような商品を普段購入しているかなど、具体的な行動に関する情報

これらの具体的な情報を盛り込むことで、よりリアルな顧客像を思い描くことができ、訴求力を強めることができます。

2.具体的な行動パターンを想像する

ペルソナ設定において、「具体的な行動パターン」を想像することは、単なる顧客像ではなく、その人がどのような生活を送っているのか、どのような思考回路を持っているのかを深く理解することに繋がります。

では、どのような行動パターンを想像すれば良いのか?
以下がその例になります。

1日のスケジュール

起床時間、通勤時間、仕事内容、帰宅後の過ごし方など、1日の流れを具体的に想像します。

情報収集の行動

どのような情報源から情報を収集しているか(SNS、ニュースサイト、口コミサイトなど)、どのようなキーワードで検索しているかなどを考えます。

購買行動

どんな商品をどこで購入しているか、購入前にどのような情報を収集しているかなどを考えます。

コミュニケーション

家族、友人、同僚など、誰とどのようなコミュニケーションを取っているか、どのような言葉遣いをしているかなどを考えます。

悩みや課題

日常生活の中でどのような悩みや課題を抱えているか、それらの解決のためにどのような行動を取っているかなどを考えます。

ペルソナ設定において、具体的な行動パターンを想像することは、より深い顧客理解 に繋がり、効果的なマーケティング活動に不可欠です。

単なる属性情報だけでなく、その人がどのような生活を送っているのか、どのようなことを考えているのかを具体的に描くことで、よりリアルなペルソナ を作り上げることができます。

3.データに基づいた設定を行うこと

ペルソナ設定は客観的なデータに基づいて行う必要があります。

その理由は、経験や直感に基づいた設定では、無意識のうちに自身のステレオタイプや偏見が反映されてしまう可能性があるからです。

データに基づくと、客観的な事実 に基づいてペルソナを構築できるため、より正確な顧客像を把握することができます。

どのようなデータを使うべきか?
以下がその例になります。

顧客属性データ

年齢、性別、職業、収入、学歴など、顧客の基本的な属性に関するデータ

行動データ

購買履歴、ウェブサイトの閲覧履歴、アプリの利用状況など、顧客の行動に関するデータ

アンケートデータ

顧客へのアンケート調査で得られた意見や感想、ニーズに関するデータ

SNSデータ 顧客がSNS上で発信している情報(投稿内容、反応など)

データ分析によって得られた情報を活用することで、より効果的なマーケティング活動を行うことができます。

ペルソナ設定のステップ

ここからは、具体的なペルソナ設定のステップについて詳しく解説します。

1.情報収集を行う

まずは、既存のデータと新たなデータを収集し、分析することで、ペルソナの基礎となる情報を集めましょう。

既存データの活用

顧客属性データ

年齢、性別、職業、居住地、収入など、顧客の基本的な属性に関するデータ

購買履歴データ

過去に購入した商品、購入頻度、購入金額など、顧客の購買行動に関するデータ

ウェブサイトのアクセスログ

ウェブサイトのどのページを閲覧したか、どの商品に興味を示したかなど、顧客のオンライン上での行動に関するデータ

アンケートデータ

過去に行った顧客アンケートの結果

カスタマーサポート履歴

顧客からの問い合わせ内容、クレーム内容など、顧客との直接的なコミュニケーションに関するデータ

新たなデータの収集

アンケート調査

顧客に対して、ペルソナ設定に必要な情報を直接尋ねるためのアンケート調査を実施

インタビュー調査 顧客一人ひとりと深く対話し、その人の価値観や行動パターンを詳しく聞き出すためのインタビュー調査を実施
フォーカスグループインタビュー 複数の顧客を対象に、特定のテーマについてグループで意見交換を実施
ソーシャルリスニング

SNS上の顧客の声を収集し、顧客の意見やトレンドを把握

ペルソナ設定における情報収集は、正確で詳細な顧客像 を描くための基礎となる作業です。

既存データと新たなデータを組み合わせて、多角的な視点から顧客を分析し、ペルソナに反映させることで、より効果的なマーケティング活動に繋げることができます。

2.ペルソナの1日の過ごし方を具体的に想像する

次に、ペルソナの1日の過ごし方を具体的に想像しましょう。
例えば、あるペルソナが朝起きてから夜寝るまでのスケジュールを想像します。

朝7時に起床し、8時には通勤を開始します。

通勤中にスマートフォンでニュースを読み、メールをチェックします。

ランチタイムには職場の仲間とSNSをチェックしながら食事を取り、午後の業務が始まります。

16時になると、仕事の終わりが見えてくるため、数分のブレイクタイムに再度SNSをチェックします。

帰宅後の19時には、家族と共にディナーを楽しみ、その後20時からはリラックスタイムとして動画配信サービスを利用します。

22時には就寝の準備を始め、23時にはベッドに入ります。

このような具体的な1日のスケジュールを想像することで、コンテンツの配信タイミングやメッセージの内容を最適化することが可能です。

結果として、ペルソナに対して訴求力のあるアプローチができるようになります。

3.ペルソナの属性設定を行う

次に、属性設定を行いましょう。

ペルソナ設定において、属性設定は、その人物の具体的な姿を描き出す上で非常に重要なステップです。
デモグラフィックデータサイコグラフィックデータ行動データの3つの側面からペルソナを深く掘り下げていきましょう。

デモグラフィックデータ

デモグラフィックデータは、年齢、性別、職業、学歴、収入、家族構成など、客観的な属性に関する情報です。これらの情報によって、ペルソナの社会的な背景や経済状況などを把握することができます。

サイコグラフィックデータの設定

サイコグラフィックデータは、価値観、ライフスタイル、趣味、興味関心、性格など、主観的な属性に関する情報です。これらの情報によって、ペルソナの心の内面や行動の動機を理解することができます。

行動データ

行動データは、購買履歴、ウェブサイトの閲覧履歴、SNSでの行動など、具体的な行動に関する情報です。これらの情報によって、ペルソナの行動パターンや消費行動を把握することができます。

これらの情報を組み合わせることで、ペルソナの行動パターンや心理状態を深く理解し、効果的なマーケティング施策を立案することが可能になります。

4.ペルソナのプロフィールを作成する

最後に、これまで収集したデータを元に、詳細なプロフィールを作成していきます。
プロフィール作成時のポイントは以下になります。

  • 名前をつける
  • 顔写真を設定する
  • 悩みなどをストーリー形式で記述する
  • 具体的な行動パターン
  • 感情や価値観
  • 目標や悩み
  • 利用しているデバイス(SNS、ウェブサイトなど)

▼ペルソナ設計テンプレート(BtoB向け)

 

ペルソナを作成する上での注意点

ペルソナを効果的に作成するためには、いくつかの重要な注意点を押さえる必要があります。

ここからは、ペルソナ作成時に避けるべき誤りや重要なポイントについて詳しく解説します。

1.理想の顧客像ではなく、典型的な顧客像であること

ペルソナ設定において、「理想の顧客像」ではなく「典型的な顧客像」であることを意識することは非常に重要です。

なぜなら、理想の顧客像を設定してしまうと、現実との乖離が生じ、効果的なマーケティング施策を立案することが難しくなるからです。

例えば、高収入のエリートビジネスマンを理想の顧客像として設定してしまうと、実際の平均的な顧客が中間層のサラリーマンだった場合、マーケティングメッセージが顧客に響かなくなります。

このようなケースでは、提供する商品やサービスが顧客のニーズやライフスタイルに適合せず、購買意欲を引き出すことができません。

そのため、ペルソナ設定では現実的で具体的な顧客データを基に、典型的な顧客像を描くことが求められます。

定量調査や定性調査を通じて、実際の顧客の属性、行動パターン、購買動機などを把握し、それをペルソナに反映させることが効果的です。

ペルソナ設定は、理想を追求するのではなく、現実に即した典型的な顧客像を描くことで、マーケティング活動の精度と効率を向上させる鍵となります。

2.主観や思い込みを排除すること

ペルソナ設定は主観や思い込みを排除し、客観的なデータに基づいて行う必要があります。

これを怠ると、実際の顧客の行動やニーズとズレが生じる可能性が高くなり、結果的にマーケティング戦略の効果が低下してしまう恐れがあります。

主観的な判断に依存すると、理想の顧客像が先行し、現実の顧客とは異なる方向に向かってしまうことがよくあります。

これを回避するためには、統計データや顧客インタビュー、Webサイトのアクセス解析などの具体的な情報を活用することが重要です。

客観的なデータに基づいたペルソナ設定を行うことで、マーケティング戦略は顧客ニーズに合わせたものとなり、効果を最大化することが可能になります。

3.定期的な見直しと更新を行うこと

ペルソナは定期的に見直し、更新することが重要です。

顧客のニーズや市場環境は変化するため、最新の状態を保つ必要があります。

例えば、技術革新やトレンドの変化が購買行動や価値観に影響を与えることがあります。

定期的な更新により、効果的なマーケティングが可能になり、顧客への最適なアプローチを維持できます。

顧客のニーズに迅速に対応するため、定期的な見直しと更新は欠かせないプロセスです。

AI(ChatGPT、Gemini)をペルソナ設計に役立てる!

AIは、顧客アンケート、SNSの投稿、Webサイトの行動履歴など、膨大なデータを短時間で分析することができます

これにより、人間が気づきにくいパターンや傾向を抽出することが可能になり、より精度の高いペルソナ像を描けるようになります。

AIを活用するメリット

1.膨大なデータを迅速に分析できる

AIは、顧客アンケート、SNSデータ、購買履歴、Webサイトの行動ログなど、多種多様なデータを同時に処理できます

そのため、ペルソナ作成のスピードが大幅に向上します。

2. 客観的な視点でのペルソナが作成できる

AIは感情を持たないため、個人的な感情や先入観に左右されることなく、データに基づいた客観的な分析結果を出してくれます

また、さまざまな角度からデータを分析することで、より多面的で深い洞察を得ることができます。

3. 詳細なペルソナ像を立ててくれる

AIは、年齢、性別、職業だけでなく、趣味、ライフスタイル、価値観など、より詳細なペルソナ像を作成できます

表面的なデータだけでなく、その人が本当に求めているもの、つまり潜在的なニーズまで見つけることが可能です。

4. 仮説を立てて検証できる

AIは、様々なシミュレーションを行うことで、「もしこの商品を販売したら、このペルソナはどう反応するだろう?」といった仮説を立てて検証することができます

複数の選択肢の中から、最も効果的な施策を選ぶために役立ちます。

以上4点が、ペルソナ設定でAIを活用するメリットをお伝えしましたが、AIはあくまで補助的な役割として活用しましょう。

ペルソナ設計は、最終的に人間が行うべき作業です。

まとめ

本記事では、ペルソナ設定の基本からその重要性メリット具体的な設定手順までを詳しく解説しました。

ペルソナ設定はマーケティング戦略の基盤となり、ターゲット顧客をより深く理解することが可能になります。

ぜひこの記事を参考にペルソナ設定をしてみてください!

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