セミナーの成功確率を上げる「企画の作り方」を3ステップで紹介
セミナー
はじめに
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、オンラインでセミナーを実施する「ウェビナー」が急速に普及しました。その結果、マーケティング戦略の一環としてセミナーを活用する企業が増えており、一般的な会社員であっても講演者となる機会が増えています。しかし、突然セミナーをやれと言われても、どう企画すればよいかわからないという方は多いはずです。
本記事では、セミナーの成功確率を上げる企画の作り方について、目的設定・ターゲット設定・全体像の整理という3つのステップで解説します。これからセミナーの企画を始める方は、ぜひ参考にしてみてください。
セミナー企画の第1ステップ:「目的」を設定する
セミナーを企画する際、まず重要なのが「目的」の設定です。セミナーの目的が明確でなければ、「誰をターゲットにするのか」「セミナー終了後に参加者にどのような状態になってもらうべきなのか」がわかりません。
ここでは、セミナーの目的を設定する方法について以下3つのポイントを解説します。
- セミナーを通じて解決したい自社の課題を明確にする
- セミナーの目的を設定する
- セミナー終了後の参加者の状態を定義する
セミナーを通じて解決したい自社の課題を明確にする
企業や大学など組織の形態を問わず、セミナーを開催するのは何か解決すべき課題を抱えているからでしょう。セミナーを通じ、組織のどのような課題を解決したいのか明確にしましょう。
企業であれば、以下のような課題が考えられます。
- 商品、サービスの認知が広がらない
- 見込み顧客は十分獲得できているものの成約につながらない
- リピート率が低い
- 自社サービスがうまく活用されていない
- 顧客あたりの購入単価が低い
また大学であれば、以下のような課題が考えられます。
- 在籍学生の就職率が悪い
- 社会に出て活躍する卒業生が少ない
- 授業に対する満足度が下がっている
現状抱えている課題に対し、セミナーを通じてどう解決を図るのか、具体的に言語化することが重要です。
セミナーの目的を設定する
解決すべき課題を明確にしたら、開催するセミナーの目的を設定します。一般的には、セミナーの目的は以下の5つに分けられるでしょう。
- 見込み顧客の獲得
- 見込み顧客の育成
- 既存顧客の満足度向上
- 既存顧客への追加提案
- 既存顧客との関係性向上
「顧客」としていますが、例えば大学の場合であれば「見込み顧客=高校生」「既存顧客=大学生」と考えれば本質は変わりません。それでは、目的別の考え方について解説していきます。
見込み客の獲得
見込み顧客の獲得を目指す場合は、自社商品・サービスの認知を獲得するきっかけとしてセミナーを開催します。あくまで「きっかけ」であり、自社商品・サービスを売り込みすぎないことが重要です。
例えば、営業向けツールの販売企業が営業ノウハウのセミナーを実施するといった例が挙げられます。参加者にとって有益なノウハウの提供を最優先とし、自社のツールについては存在を認知してもらう程度に留めます。セミナーを通じてまずは関係性を作り、将来的な購入や契約につなげられればよいからです。
見込み顧客の育成
見込み顧客の育成を目的とする場合は、すでに自社商品・サービスを認知しており、メールマガジンに登録したり、SNSでフォローしたりしている顧客が対象です。自社商品・サービスに興味を持っている状態であるため、顧客が抱える課題の解決に向け、なぜ自社商品・サービスが役に立つのかを知ってもらうためにセミナーを実施します。
例えば、営業向けツールの提供企業であれば、実際にツールを用いて成約率をアップさせた事例を紹介しましょう。顧客が抱えている課題がツールによっていかに解決できるのか、具体的に示すことでニーズを喚起できます。
既存顧客の満足度向上
既存顧客の満足度向上を目的とする場合は、すでに自社商品・サービスを利用している顧客が対象です。自社商品・サービスのよりよい使い方や、成果を上げた事例を紹介することで、うまく利用できていない顧客が価値を再認識し、継続利用するように促します。
特に、既存顧客による解約が続いている場合や、リピート率が伸び悩んでいる場合に有効な解決策となります。
既存顧客への追加提案
すでに自社の商品・サービスを利用している顧客に対し、追加の商品・サービスを提案します。契約内容のアップグレードや新商品販売による顧客単価引き上げを目的とした、いわゆるクロスセル・アップセルです。契約更新や新商品発売のタイミングで行なうのがよいでしょう。
新商品や新機能の使い方、コンサルティングサービスの紹介など、より高機能な商品やサービスの価値を伝え、利用を促します。
既存顧客との関係性向上
自社商品・サービスに関係がない内容でも、業界のプロフェッショナルとしてセミナーで情報を発信すれば、顧客からの信頼を高めることにつながります。例えば、業界の最新事情や今後の展望などについて詳しい情報を提供すれば、既存顧客との関係性向上につながるでしょう。
もちろん、自社の商品やサービスを紹介・提案するセミナーではないため、すぐに購入や契約更新につながるわけではありません。それでも、顧客が課題を抱えた際や新規事業を計画する際に真っ先に自社を想起してもらえる可能性が高まるため、重要な取り組みだといえます。
セミナー終了後の参加者の状態を定義する
セミナー終了後、参加者がどのような状態になっているのが理想なのかを定義しておきましょう。具体的に言語化しておくことで、セミナーの流れや最終的に持っていくべき結論が定まります。
以下、先述の5つの目的に沿って具体例を紹介します。
理想的な参加者の状態を念頭に置いたうえでセミナーを企画すれば、より成果が上がりやすくなるでしょう。
セミナー企画の第2ステップ:「ターゲット」を設定する
セミナーの実施目的を設定したら、続いてターゲットを設定します。ターゲットがあいまいなままでは、どのように集客すべきか、どのようなコンテンツを用意すべきか定まりません。
ここではセミナーの集客ターゲットを設定するにあたり、重要なポイントを以下4つ紹介します。
- ターゲットの属性・状態を絞り込む
- ターゲットが抱える課題を定義する
- 自社が提供できる情報・ノウハウを整理する
- 集客方法との整合性を検証する
ターゲットの属性・状態を絞り込む
まず、セミナーで集客すべきターゲットの属性や状態を明確にしましょう。
ターゲットの属性とは、年齢や性別、職業、居住地域などの基本情報を指します。企業向けにセミナーを行なう場合は、所属部署や役職、決済権限の有無なども考慮する必要があるでしょう。
ターゲットの状態とは、「業界経験がほとんどなく基礎から学びたい」「すでに一定のキャリアがありステップアップを目指したい」などといったものです。ターゲットの状態によって求める情報や自社商品・サービスに対する関心の度合いが変わるため、明確に定義しておきましょう。
ターゲットが抱える課題を定義する
ターゲットの属性・状態の絞り込みをしたら、そのターゲットが抱えている課題を洗い出します。「基礎的な内容にまだ不安がある」「基礎的な知識・経験は身に付けたが、トップレベルにはまだ追いつけない」など、ターゲットがどのような課題を抱えているのか言語化します。
例えば、経理業務の初心者であれば「商業簿記の基礎を改めて学びたいけど、なかなか時間が取れない」、大手企業経理部の中堅社員であれば「〇〇の改正が連結決算にもたらす影響について調べているけど、なかなか具体的な情報が得られない」など、同じ経理部門の社員であっても課題は異なります。
ターゲットが「セミナーにわざわざ参加してでも解消したい課題」は何なのか、洗い出しましょう。
自社が提供できる情報・ノウハウを整理する
ターゲットが抱えている課題を定義できたら、それに対して自社が提供できる情報やノウハウの整理を行ないます。
ポイントは、ターゲットが「この話はぜひ聞いておきたい」と感じるかどうかです。具体的には、企業として蓄積した販売データや、貴重な現場経験を持つ人材のノウハウ、自社だからこそ得られる業界の最新情報などが挙げられます。
ターゲットが抱える課題に対し、有益と考えられる情報やノウハウを整理し、セミナーのコンテンツ案としてまとめます。
集客方法との整合性を検証する
絞り込んだターゲットと、自社にとって実施可能な集客方法が噛み合うのかどうか、整合性を検証することが大切です。特定のターゲットに絞っても、そこにリーチする術がなければ意味がないからです。どれだけ魅力的なセミナーを企画できたとしても、ターゲットに合致する参加者を十分な人数集められなければ、成果は上がりません。
既存顧客をターゲットとする場合は、すでに社名や連絡先をリストとして保持しているため問題ないでしょう。新規顧客の開拓を目的としている場合は、業界誌や関連Webサイトへの広告掲載、メルマガなどを使い、十分な集客が可能かを検証します。
ターゲットの集客に適した方法を採用できれば、セミナーの成功確率は大きく向上します。
セミナー企画の第3ステップ:全体像をまとめる
セミナーの目的とターゲット設定を終えたら、最後にセミナーの全体像をまとめます。具体的には以下3つのステップで進めましょう。
- コンセプトを決める
- 開催・進行の形式を決める
- スケジュール・作業に落とし込む
ここでは、それぞれのステップについて詳しく解説します。
コンセプトを決める
事前に設定したセミナーの目的とターゲットに合わせ、コンセプトを決定します。
例えば、他社への顧客流出に悩む営業ツールの提供会社が「既存顧客の満足度向上」を目的としてセミナーを実施するとします。ターゲットは、「自社商品・サービスを契約しているものの、成果が上がっておらず、競合への乗り換えを検討している既存顧客」となるでしょう。その場合、セミナーのコンセプトは「〇〇(ツール名)を利用して新規成約率を上げた方法」や「〇〇(ツール名)を利用して面倒な△△の作業を効率化した方法」などが考えられます。
コンセプトを設定したら、「ターゲットにとって魅力的な内容か」「ターゲットの課題は解消されるか」「セミナー終了後にターゲットは目的に沿った状態になっているか」といった点を検証しましょう。
開催・進行の形式を決める
次にどのような開催・進行の形式にするかを決めましょう。例えば、以下のようなポイントが挙げられます。
- オンラインかオフラインか
- 講義形式かワーク形式か
- トーク形式かスライド形式か
オンラインにすれば参加しやすいですが、オフラインに比べ講演者と参加者のコミュニケーションが取りにくいといったデメリットがあります。また、トーク形式であれば、参加者の反応を見ながら柔軟な対応が可能ですが、スライド形式のほうがスムーズな進行や参加者の理解促進には役立つでしょう。
セミナーの目的やターゲットに合わせ、もっとも成果につながりやすい形式を検討しましょう。とはいえ一度で最適な形式が見つかることは少なく、回を重ねるごとに改善していくことが大切です。
スケジュール・作業に落とし込む
セミナーのコンセプトや形式が決まったら、スムーズに準備が進められるようスケジュール・作業に落とし込みます。開催までに行なう準備としては、会場の確保やターゲットの集客、資料作成、LP・申し込みフォームの作成、機材の準備などが挙げられます。
参加率を高めるためには、ターゲットのスケジュールが空いている段階で早めに初回の告知をし、さらに開催当日に向けて複数回リマインドメールを送るのが理想です。そのためには、余裕を持ったスケジュール設定が重要になります。
まとめ
本記事では、セミナーの成功確率を上げる企画の作り方を3つのステップで紹介しました。
まずはセミナーを通じて自社が抱えるどのような課題を解決したいのか、セミナーの目的を設定することが大切です。それに基づき、集客のターゲットを設定し、コンセプトや開催形式など全体像をまとめていきます。目的から逆算し、ターゲットに刺さるコンテンツを企画できれば、セミナーは自社事業にプラスを生み出す強力なマーケティングツールとなるはずです。
とはいえ、セミナーの成功確率を上げるためには「実施→振り返り→修正」といった改善のサイクルが欠かせません。本記事で紹介したポイントを押さえつつも、まずは初回のセミナーを実施し、徐々にブラッシュアップしていくことが大切だといえるでしょう。
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