3分で解説!BIツールとは?基本知識からExcelとの違い、選び方
マーケティング
BIツールとは、自社のデータを一元化し、売上や顧客情報などをグラフや表で分かりやすく表示してくれるツールです。
ExcelやGoogleスプレッドシートよりも高度な分析が可能になり、経営判断をデータに基づき、迅速かつ正確に行うことができます。
ビジネスの場において、迅速かつ正確な判断ができるか否かで企業の売上や未来を大きく左右します。
ただし、迅速かつ正確な判断をしたい場面において、「この数字が知りたいだけなのに、どこにあるのかわからない。」や「営業部の〇〇さんに聞かないとわからない。」など、判断に必要なデータが手元にないという経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか?
- 欲しいデータが手元にない
- データが各部署に点在・分散しており、分析ができない
データが手元に揃っていれば、迅速な判断が可能になります。
また、データに基づいたより正確な判断も可能になります。
上記を可能にする手段の1つとして、BIツールは存在します。
本記事では、BIツールとは何か?についてわかりやすく解説し、中小企業が直面する課題に対して、BIツールがどのように活用できるのかをご説明いたします。
BIツールとは?
BIツールとは、Business Intelligence(ビジネスインテリジェンス)の略です。
企業が保有する膨大なデータを収集・分析し、わかりやすく可視化することで、経営や業務に役立てるためのツールです。
Excel(エクセル)などの表計算ソフトでは分析しきれないような、大量のデータを短時間で分析し、分かりやすいグラフやチャートで表示することで、経営判断をより迅速に正確に行うことができます。
データが企業の命運を握る時代だからこそ、企業は日々、さまざまなデータを収集・生成しています。
さまざまなデータとは、顧客の購買履歴、売上データ、マーケティングデータなどです。
これらのデータを収集するだけでなく、集約し、データ活用をすることで、より良い意思決定を行い、企業の成長に繋げることができます。
また、活用できるのは、経営層だけではありません。
BIツールは、各部署が知りたいデータをわかりやすく可視化することができます。
例えば、マーケティング部門の場合、各マーケティング施策ごとの成果をダッシュボード上に表示することで状況をリアルタイムに把握し、PDCAを回しやすくなるなどです。
ExcelやGoogleスプレッドシートとの違い
Excel(エクセル)とBIツールは、どちらもデータ分析に利用されるツールですが、できることとできないことが大きく異なります。
特徴 | Excel・Googleスプレッドシート | BIツール |
---|---|---|
得意なデータ量 | 小~中規模 | 大規模 |
データの収集 | 手動でのデータ入力や更新 | 自動更新・リアルタイムでのデータ処理 |
分析の複雑さ | シンプルな分析 | 複雑な分析 |
操作性 | 簡単 | 比較的複雑 |
機能 | 表計算、グラフ作成など | データ統合、分析、可視化、ダッシュボード作成など |
コスト | 安価 | 高価な傾向 |
導入期間 | 短い | 長い傾向 |
上記からわかるように、シンプルなデータの集計やグラフの作成の場合は、Excel(エクセル)やGoogleスプレッドシート、膨大なデータや複数のデータの統合分析をする場合には、BIツールが向いています。
BIツール導入によるメリット
BIツール導入によるメリットは多岐にわたりますが、主なものを以下にまとめました。
1. データに基づいた意思決定が可能になる
過去のデータ分析
過去の売上データや顧客データを分析することで、過去の傾向やパターンを把握し、将来を予測することができます。
リアルタイムなデータ分析
最新のデータをリアルタイムで分析することで、迅速に意思決定や判断ができます。
客観的な判断
感覚や経験ではなく、データに基づいた客観的な判断ができるため、意思決定や判断の正確性がより向上します。
2. 業務効率化
データ収集・集計の自動化
手作業で行っていたデータ収集や集計作業を自動化し、大幅な時間短縮や手間の削減に繋がります。
また、データをBIツールに蓄積していくことでより正確なデータ分析を行うことができます。
レポート作成の効率化
定期的なレポート作成を自動化し、担当者の手間や負担を軽減します。
データの一元化
複数のシステムに分散していたデータを一元管理し、データの探しやすさが向上します。
3. 売上向上
顧客セグメンテーション
顧客データを細かく分析し、セグメントごとに最適なマーケティング施策を実行できます。
商品開発の効率化
顧客ニーズを的確に把握し、新たな商品開発やサービス改善に繋げることができます。
クロスセル・アップセルの促進
顧客の購買履歴を分析し、適切な商品を提案することで、売上アップに貢献します。
4. コスト削減
在庫最適化
需要予測を正確に行い、過剰在庫や欠品を防ぎ、在庫管理コストを削減します。
マーケティングコストの最適化
効果的な広告施策を特定し、無駄な広告費を抑えることができます。
業務プロセス改善
ボトルネックとなる業務プロセスを特定し、改善することで、全体的な業務効率を向上させます。
5. リスクの最小化
異常検知
過去のデータと比較し、異常な値を検知することで、問題の早期発見に繋がります。
リスク予測
将来起こりうるリスクを予測し、事前に対策を講じることができます。
6. 部門間の連携強化
共通のデータ基盤
異なる部門間で共通のデータ基盤を持つことで、情報共有が円滑になり、連携が強化されます。
全体最適化
部門間の連携を強化することで、企業全体の最適化を実現できます。
BIツール導入によるデメリット
BIツール導入によるメリットは多くありますが、導入後に起こりえるリスクや考えられるデメリットをあらかじめ、把握しておくことで、BIツール導入の費用対効果は大きく変わります。
導入を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットも十分に理解しておくことが重要です。
合わせて、デメリットに対する対策もご説明いたします。
1.導入コスト
無料で使えるBIツールもありますが、有料のツールの場合は、以下の費用が発生する可能性があります。
初期費用
- ツールの購入費用
- 導入費用
- カスタマイズ費用
運用費用
- ライセンス費用
- 保守費用
- 通信費
人件費
- システム導入・運用に必要な人員の確保
- 教育費用
2. 学習コスト
新しいツールの導入には、運用者がツールを理解するための習得期間のほか、データ分析の基礎知識が必要となる場合があります。
3. システムとの連携
既存のシステムとの連携に時間がかかり、作業が複雑になる場合があります。
また、複数のシステムからデータを連携させる場合、データの整合性を保つことが難しくなる場合があります。
4. データの質
分析の精度を高めるためには、高品質なデータが必要となります。
データを収集したとしても、データの基準がバラバラの場合や項目のズレなどがある場合は、データのクレンジングや整備が必要となります。
5. 導入期間
システムの導入を決めてから実際に運用が開始するまでには、一定の期間が必要です。
ある程度余裕を持ったスケジュールを立てる方が良いでしょう。
また、導入期間中は、使い方がわからず手間取ったり、想定外のトラブルが発生するなど、既存の業務に影響が出る可能性があります。
デメリットに対する対策
テスト運用の実施
小規模な範囲でテスト導入し、効果を検証することで、リスクを軽減できます。
1部署のみなどの範囲を限定したとしても、実際に導入し、運用することで、計画段階では想定されていなかったことに対する対策を打つことが可能です。
外部の専門家への依頼
BIツールを導入しても「使いこなすことができなかった」や事業フェーズに合った使い方がわからず、「今のフェーズでの導入は早かった」などの理由からうまく活用できない場合もあります。
導入支援やコンサルティングを受けることで、自社に合ったスムーズな導入・運用が可能になります。
従業員への教育
導入をしても、運用が浸透しなければ、機能しません。
導入前に、「BIツールとは何か?」や「導入の目的」などを説明し、導入後も、定期的な運用マニュアルの更新や説明会・勉強会の実施など、従業員への丁寧な教育を実施することで、スムーズな運用が期待できます。
BIツールの選び方
同じBIツールでも、使用したいプランやデータ量などによって、プランが分かれている場合もあります。
そのため、自社に最適なBIツールを選定する際には、基準や比較するポイントを明確にした上で比較検討や相見積もりを行うと良いです。
基準や比較するポイントは様々ありますが、主に以下8点があります。
1. 自社の課題を明確にする
どのような課題を解決したいのか
売上向上、コスト削減、顧客理解など、具体的な目標を定めます。
必要な機能
目標達成のために、どのような機能が必要か洗い出します。(データ収集、分析、可視化、予測など)
2. 利用するユーザー層
誰が利用するのか
経営層、部門長、一般社員など、利用者層によって必要な機能や操作性が異なります。
スキルレベル
データ分析のスキルレベルに合わせて、操作性の高いツールを選ぶ必要があります。
3. データの種類と量
どのようなデータを分析するのか
売上データや顧客データ、マーケティングデータなど、分析対象となるデータを明確にします。
データ量
データ量が多い場合は、大規模なデータを処理できる高性能なツールが必要となります。
4. 機能
データ接続
データの連携ができるツールとできないツールがあります。
既存のシステムとの連携性を確認しておきましょう。
データ加工
データのクレンジングや集計、変換などがあります。
分析機能
統計分析や予測分析、時系列分析などがあります。
可視化機能
ダッシュボード作成やグラフ作成などがあります。
レポート作成機能
定期的なレポート作成機能などがあります。
AI機能
自動化されたデータ分析や予測分析、質問への回答の機能などがあります。
5. 操作性
直感的な操作性
専門知識がなくても簡単に利用できるかを確認しましょう。
カスタマイズ性
必要な機能をカスタマイズできるかを確認しましょう。
6. 価格
初期費用
ライセンス費用や導入費用について確認しましょう。
ランニングコスト
月額利用料や保守費用がどの程度かを検討しましょう。
7. 導入形態
クラウド型
インターネット経由で利用するタイプです。
初期費用が安く、容易に導入することが可能です。
オンプレミス型
自社サーバにインストールして利用するタイプ。
高いセキュリティが必要な場合に適しています。
8. ベンダーサポート
サポート体制
導入後のサポート体制が充実しているかを確認しましょう。
導入実績
同業他社の導入実績があるかを確認しましょう。
導入までの流れ
BIツールの導入は、企業の規模や既存システムとの連携状況などによって、具体的なステップは異なります。
本記事では、一般的な流れをご説明します。
1.現状分析と課題の洗い出し
データの現状把握
どのシステムにどのようなデータが保存されているか、データの品質、アクセス権限などを詳細に調査します。
また、データの統合性、一貫性を確認し、データクレンジングが必要な場合は事前に洗い出しをしておくと、システム構築や導入がスムーズになります。
課題の明確化
解決したい課題を明確にすることで2.要件定義で課題を解決するためにどのような機能が必要であるかの判断がしやすくなります。
■以下のように具体的に課題を明確化する
- データの散在
- 分析の効率化
- 意思決定の遅延
- データに基づいた意思決定ができていない
- 部門間の情報共有がスムーズに行われていないなど
目標設定
BIツール導入によって何を達成したいのか、具体的な目標を設定します。
■例
- 売上を10%向上させる
- 顧客満足度を5%向上させるなど
2.要件定義
機能要件
データの収集、加工、分析、可視化など、必要な機能を詳細に定義します。
また、ダッシュボードに表示したいKPI(重要業績評価指標)を明確にします。
非機能要件
セキュリティ、パフォーマンス、拡張性など、システムとしての要件を定義します。
また、導入後のサポート体制、SLA(サービスレベルアグリーメント)などを明確にします。
ユーザーインタビュー
実際にツールを使用するユーザーの意見を聞き、要件に反映させます。
3.ベンダー選定
複数のベンダーから提案を受け、比較検討します。
機能、価格、サポート体制などを比較し、自社のニーズに合ったベンダーを選ぶと良いでしょう。
また、デモ版がないかを商談時に確認し、操作性や機能性を確認すると、導入後のイメージがつきやすく、ギャップを最小限に抑えることができます。
4.テスト導入の実施
小規模な範囲でツールを導入し、実際に運用してみることで、効果を検証します。
テスト導入を行うことで、導入後の課題や改善点などを事前に把握することができます。
5.システム構築
データの抽出、加工、ロードを行い、データウェアハウスの構築やダッシュボードやレポートの作成を行います。
構築は、ベンダーが主体で行う場合が多いです。
社内では、マニュアルの作成や説明会・勉強会の準備を進めておきましょう。
6.導入
システムを本番環境に導入し、説明会や勉強会などのユーザートレーニングを実施します。
また、並行運用を行い、既存システムとの連携を確認し、問題なく運用できるかを確認します。
7.運用開始
定期的なデータ更新、ダッシュボードのメンテナンス、マニュアルの更新を行います。
おすすめのBIツール
おすすめのBIツールをご紹介します。
Microsoft Power BI
Microsoft Power BIは、Excelとの親和性が高く、操作性に優れているため、多くの企業で導入されています。
無料版も提供されており、まずは小規模な分析から始めてみたいという方におすすめです。
Tableau
Tableauは、視覚的な表現力に優れており、複雑なデータも分かりやすく可視化できます。
データサイエンティストにも人気が高く、高度な分析にも対応可能です。
Google Looker Studio
Google Looker Studioは、Google製品との連携がスムーズなことが特徴です。
無料版も利用できるため、コストを抑えて導入したい方におすすめです。
Qlik Sense
Qlik Senseは、リアルタイム分析に強みがあり、大規模なデータも高速処理できます。
自社データを深く掘り下げたい企業に適しています。
まとめ
BIツールの導入は単なる終点ではなく、あくまで迅速かつ正確な判断を行うための1つの手段です。
導入後も定期的なデータ分析とフィードバックを行うことで、ビジネスの成長を大きく飛躍させることにつながるだけでなく、データに基づいた経営判断を可能にすることで、市場でのポジションを強化することに繋がります。
本記事が自社のニーズに最適なBIツール探しのお力になりますと幸いです。
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