インサイドセールスとは?役割やメリットの基礎知識と向いている人の特徴なども解説
マーケティング
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目次
コロナの影響によって、近年のビジネス環境では、リモートワークやオンライン会議システムの利用が増加しています。
インサイドセールスとは、リモートワーク時代に注目される、電話やメールなどのデジタルツールを活用して顧客開拓を行う新しい営業手法です。
場所や時間に縛られずに多くの顧客にアプローチできることが大きな特徴です。この記事では、インサイドセールスの基本的な概念から、具体的な業務内容、そして成功するためのスキルまで、幅広く解説しています。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスの定義
インサイドセールスとは、主に電話、メール、ビデオ会議などのデジタルコミュニケーションツールを用いてリモートで行われる営業活動や職種のことを指します。
また、インサイドセールスの役割は、リードの育成、電話やメールによる商談設定、顧客のニーズのヒアリングを行い、商談や契約を担当するフィールドセールスへと繋げることです。
このように営業プロセスを複数の役割に分割し、それぞれの専門家が担当するようなモデルを分業型セールスモデルと言います。
分業型セールスモデルとは
分業型セールスモデルとは、前述通り、役割を複数に分割した営業スタイルのことです。
従来のセールスモデルは、一人の営業担当者が、見込み客の開拓から商談、契約までの一連の業務を担うことが一般的でしたが、現代のビジネス環境の変化に伴い、ターゲット選定から契約までの営業プロセスを分業化するモデルが注目されています。
▼イメージ図
分業型セールスモデルの業務フロー
分業型セールスモデルの大まかな仕事のフローとしては、「リードジェネレーション→リードナーチャリング→商談設定→クロージング」になります。
それぞれの段階で必要となるスキルが異なるため、総合的なセールス能力が求められます。
主な仕事内容を以下の4つに分けて見ていきましょう。
1. リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、インサイドセールスにおいて新しい見込み客を発掘するための業務です。
具体的なリードジェネレーションの方法:
- ホームページの問い合わせフォーム
- セミナー
- SNS
- メールマーケティング
これらの方法を使って、たくさんのお客さん候補を見つけ、リストを作ります。このリストを「リードリスト」と呼びます。
2. リードナーチャリング(見込み客の育成)
リードナーチャリングは、自社で獲得した見込み顧客の購買意欲を引き上げるためのマーケティング活動のことです。
具体的な仕事内容:
- 見込客の興味に合わせて、メールや資料を送る
- ウェビナー(オンラインセミナー)を開催して、商品やサービスについて詳しく説明する
3. 商談設定
お客さんと直接話をする機会を作るのが「商談設定」です。
電話やメールを利用して見込み客へのアプローチを行い、アポイントを取り付けます。
また、オンライン会議ツールを使用して適切なタイミングで商談の日時を調整することも含まれます。
商談設定を効率的に行うことで、契約に繋がる確率を高め、営業活動の効率を向上させることができます。
具体的な仕事内容:
- 電話やメールでお客さんに連絡し、商談の日程を調整する
- オンライン会議ツールを使って、お客さんと直接話す
ポイント
見込み客へのアプローチには、タイミングと方法が重要です。見込み客が最も関心を持ちやすい時間帯に連絡を取ることで、その時点での関心度を高めることができます。
また、メールや電話だけでなく、オンライン会議ツールを使用して直接顔を見て話すことで信頼関係を築きやすくなります。
4. クロージング
クロージングとは、営業活動においては商談を契約へ結びつける最終段階のフェーズを指します。 クロージングの役割は、それまで積み重ねてきた顧客の興味をまとめあげ、成約へつなげることになります。
具体的な仕事内容:
- お客さんの疑問を解消し、商品やサービスのメリットを伝える
- お客さんに契約を決断してもらう
多くのお客様が最終的な決断を下す直前に迷う場合があります。
この際に、お客様の不安や疑問に対して迅速かつ的確に対応し、購入のメリットを再確認させることがコツとなります。
また、信頼関係を築いていることが大前提となりますので、初期段階からの関係構築も不可欠です。一回の成功がその後のリピートやアップセル、クロスセル活動にも繋がります。
分業型セールスモデルのメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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インサイドセールスとテレアポの違い
よく、テレアポと同じように思われている方もいらっしゃるようですが、どちらも電話を用いた営業活動という共通点がある一方で、その目的や手法、そして顧客との関係性において大きな違いがあります。
インサイドセールスとテレアポの違いをまとめた表
区分 | テレアポ | インサイドセールス |
---|---|---|
目的 | 短期的なアポイント獲得 | 顧客との長期的な関係構築、見込み顧客の育成 |
手法 | 電話 | 電話、メール、チャットなど |
特徴 |
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期間 | 短期 | 長期 |
顧客との関係性 | 一過性 | 長期的な関係構築 |
フィールドセールスとの違いとは?
インサイドセールスとフィールドセールスの違いは、「役割」にあります。
インサイドセールスは、見込み客の発掘や育成、商談の設定などを担当し、フィールドセールスは、商談の最終決定や契約締結、顧客との関係構築などを担当します。
具体的な業務内容
インサイドセールス
- 見込み顧客の発掘(リードジェネレーション)
- 見込み顧客の育成(リードナーチャリング)
- 電話やメールによる商談設定
- 顧客のニーズのヒアリング(リードクオリフィケーション)
- フィールドセールスへの引き継ぎ
フィールドセールス
- 顧客との商談
- 製品・サービスの説明
- 契約交渉
- 顧客との信頼関係の構築
- 市場調査:顧客との会話から市場の動向や競合情報などを収集
メリット・デメリット
インサイドセールス
メリット |
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デメリット |
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アポイントを獲得することだけを目的としているテレアポと違い、インサイドセールスは、見込み顧客との中長期的な関係構築をしながら商談(アポイント)のタイミングを見極めるため、モチベーションの維持が難しいと言われていますが、その分関係構築をして、アポイントとれた時の達成感は、その分高いでしょう。
フィールドセールス
メリット |
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デメリット |
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クロージングの場では、顧客も「本当にROIが合うのか」など、敏感になっているため、予想外な質問が来たりなど、臨機応変な対応が求められます。
また、既存顧客がいる場合、既存顧客への対応に追われるため、新たなリードの開拓に時間を割くためにもタイムマネジメントの力や柔軟性を養うことができます。
インサイドセールスで求められるスキル
インサイドセールスで成功するために必要な重要なスキルについて詳しく見ていきましょう。
コミュニケーションスキル
インサイドセールスでは、お客様と直接会って話す機会が少ないため、電話やメール、チャットでのコミュニケーションが全てと言っても過言ではありません。いかに相手に興味を持ってもらい、信頼関係を築くかがポイントになります。
電話でのコミュニケーションのコツ
電話での会話は、相手の顔が見えない分、声のトーンや言葉の選び方がとても大切です。
<ポイント> ・笑顔を心掛ける ・相手の話をよく聞くき、共感をしましょう。 ・要点だけを簡潔に話す ・具体的に話す
メールでのコミュニケーションのコツ
メールは、相手の都合に合わせて読んでもらえるというメリットがありますが、一方で見落とされてしまう可能性もあります。
<ポイント>
・件名を短く分かりやすくする ・段落を分けて読みやすくする ・結論を最初に書く ・丁寧な言葉遣いを心がける
チャットでのコミュニケーションのコツ
チャットは、リアルタイムでやり取りできるため、迅速な対応が求められます。
<ポイント> ・すぐに返信する ・丁寧な言葉遣いを心がける
インサイドセールスにおいてコミュニケーションスキルは非常に重要です。顧客との信頼関係を築くためもそうですが、フィールドセールスとの連携も必要になってくるため、コミュニケーションは欠かせないスキルとなるでしょう。
セールススキル
セールススキルと言っても様々ありますが、インサイドセールスにおいて必要なセールススキルは、「提案力・交渉力・クロージング力」と考えます。以下では、それぞれのスキルを上げるための方法を説明します。
提案力
提案力とは、お客様の抱えている問題や悩みを正確に理解し、その解決策として自社の商品やサービスを提案するスキルです。
提案力が必要な理由
- お客様との信頼関係構築ができる: お客様のニーズを的確に捉え、最適な解決策を提示することで、お客様は「この人に相談してよかった」と感じ、信頼関係が築けます。
- 商談の円滑化: 具体的な提案があることで、お客様はイメージしやすく、商談がスムーズに進みます。
- 成約率アップ: お客様の課題を解決できることを確信できれば、お客様は購入を決断しやすくなります。
提案力を高めるには?
- お客様の話をよく聞く
- お客様の立場に立って考える
- 競合他社の商品・サービスを研究する
交渉力
交渉力とは、お客様との間で価格や納期、契約条件など、さまざまな条件について話し合い、お互いが納得できる形で合意に至る力のことです。
交渉力が必要な理由
- お客様との関係を長期的に築く
一度きりの取引ではなく、長期的な関係を築くためには、お互いが満足できる形で契約を結ぶことが重要です。
- 会社の利益を守る
無理な要求には応えず、自社の利益を守りながら、お客様とのwin-winの関係を築くことが大切です。
交渉力を高めるには?
- 相手の立場を理解する
- 複数の選択肢を提示する
- 具体的な数字で説明する
クロージング力
クロージング力とは、商談の最後にお客様に購入を決断してもらうための力のことです。
クロージング力が必要な理由
クロージング力が向上すれば、成約率を大幅にアップさせることができるため
クロージング力を高めるには?
- お客様の不安を取り除く
- メリットを具体的に伝える
- 限定性を強調する…「今だけのお得なキャンペーン」など
問題解決能力
問題解決能力とは、顧客から様々な質問や要望、複雑な問題やクレームなど状況で冷静に考え、適切な解決策を提案する力のことです。
問題解決能力が必要な理由
- 顧客の課題を解決し、満足度を高めることで、顧客との長期的な関係構築につながるため
- 顧客のニーズに合った提案を行うことで、成約率向上に繋がるため
- 顧客からの信頼を獲得し、リピート率向上に繋がるため
問題解決能力を高めるためには?
- 顧客の声に耳を傾ける
- 共感力を養う
- 多角的な視点を持つ
- 柔軟な対応力をつける
- 試行錯誤を恐れない
論理的思考力
論理的思考力とは、複雑な情報を整理し、客観的な視点から分析し、結論を導き出す力のことです。
論理的思考力が必要な理由
- 顧客のニーズを正確に把握し、最適な解決策を提案するため
- 効果的な営業戦略を立案するため
- 顧客との信頼関係を構築するため
論理的思考力を身につけるためには?
- 情報を整理し、構造化する
- 因果関係を分析する
- 客観的な視点を持つ
- 論理的な文章を書く
- プレゼンテーション能力を高める
インサイドセールスを採用すべき人材像6つの特徴
インサイドセールスは、直接的な対面接触ではなく、電話やメールなどを使ってセールス活動を行う職種です。
このポジションには特定のスキルや性格が求められます。ここでは、インサイドセールスに向いている人の特徴について詳しく解説します。
コミュニケーション能力が高い人
顧客との信頼関係を築き、商品やサービスの魅力を効果的に伝えるためには、丁寧で分かりやすい言葉遣いや、相手の心に響く話し方が必要です。顧客のニーズを的確に把握し、それに応じた提案を行うことで、より高い成約率に繋がります。
ヒアリング力が高い人
インサイドセールスでは、顧客の不安や疑問を的確な提案やアドバイスで解決に導く必要があります。
顧客のニーズや課題を正確に把握する力、ヒアリング力が重要になります。単に質問をするだけでなく、相手の言葉の奥にある真意を理解しようと努める姿勢が重要です。共感なども取り入れ、信頼関係を深めましょう。
目標達成意欲が高い人
売上目標や新規顧客獲得数といった具体的な目標を設定し、それを達成するために日々の業務に取り組む姿勢が求められます。目標達成意欲の高い人は、常にモチベーションを維持し、困難な状況でも諦めずに努力を続けることができます。
変化を恐れず、新しいことに挑戦できる人
市場環境や顧客のニーズは常に変化しているため、新しい情報や技術を積極的に学び、柔軟に対応できる必要があります。変化を恐れず、新しいことに挑戦する姿勢が、成長を促し、より高いパフォーマンスを発揮するための原動力となります。
問題解決能力が高い人
顧客からの問い合わせやクレームなど、様々な問題に迅速かつ適切に対応するために不可欠です。問題の本質を的確に把握し、最適な解決策を提案することで、顧客満足度を高め、信頼関係を構築することができます。
忍耐強く、根気強い人
インサイドセールスでは忍耐強く、根気強さが必要になります。インサイドセールスは、すぐに成果が出る仕事ではなく、多くの見込み客にアプローチしても、すぐにアポイントに結びつくことは稀です。
そのため、何度も接触し、長期的な顧客との関係構築が求められます。何度もアプローチを繰り返したり、提案内容を修正したりと、根気強く努力し続けることが求められます。
「インサイドセールス」と検索すると「やめとけ」と出てきますが、そう言われてしまう理由もつらさを感じやすい立ち位置にいることが要因となります。
とはいえ、難しい職種や誰にでもできないからこそ、結果が出た時の達成感や楽しいと思える職種でもあります。
インサイドセールスの経験が活かせるキャリアの選択肢
インサイドセールスで培ったスキルや経験は、実は他の様々な職種で活かすことができます。
マーケティング
インサイドセールスで培ったリードジェネレーションのノウハウが特に役立ちます。顧客のデータ分析や、顧客からのフィードバックを活かして、より効果的なマーケティング戦略を立てることができるでしょう。
フィールドセールス
インサイドセールスで得た対話力や顧客対応スキル、交渉力を生かすことができます。電話やメールでのやり取りだけでなく、直接会って顧客と話す機会が増えるフィールドセールスでは、インサイドセールスでの経験が、顧客との関係構築や信頼関係の構築に役立ちます。
カスタマーサクセス
顧客との長期的な関係構築が求められますが、インサイドセールスで培った顧客対応スキルや問題解決能力は、顧客の満足度向上に繋げることができます。
このように、インサイドセールスで培ったスキルは、他の部門でのキャリアアップにも繋がる可能性を秘めています。それぞれの部門で求められるスキルは異なりますが、インサイドセールスで培った基礎的なスキルは、どんな仕事をする上でも必ず役に立つでしょう。
企業成長を牽引する人材に育つ4つのスキル
次は、インサイドセールスで培われるスキルについて、具体的に見ていきましょう。
コミュニケーションスキル
インサイドセールスでは、一日中、様々な顧客とコミュニケーションを取ります。
電話やメールを通して、相手の反応が見えにくい状況でも、相手の言葉の反応を読み取り、的確な言葉で応える必要があります。
また、顧客からの質問に答える際、単に答えを伝えるだけでなく、顧客が求めている情報を的確に把握し、わかりやすく説明する必要があるため、相手の心を掴むコミュニケーションスキルが自然と身につくのです。
セールススキル
インサイドセールスでは、顧客のニーズを的確に把握し、それに合った提案を行うことが求められます。顧客の話をよく聞き、重要な情報を聞き出したり、自社の製品やサービスのメリットをわかりやすく説明し、顧客の購買意欲を高めるためのプレゼンテーション能力も培われます。
データ分析スキル
インサイドセールスでは、顧客データや営業データを分析し、より効果的な営業活動を行うことが求められます。
これらのデータを分析しながら業務を進めるため、データからその背景を読み取る能力が培われます。
プロジェクトマネジメントスキル
インサイドセールスでは、複数の案件を同時に進めることがよくあります。
そのため、優先順位をつけ、効率的にタスクを進める能力が必要となります。
また、目標を設定し、その達成状況を定期的に確認するなど、プロジェクトを成功に導くためのマネジメントスキルも求められます。
まとめ
本記事では、インサイドセールスについて詳しく解説しました。インサイドセールスとは何か、その特徴や仕事内容から、求められるスキルや向いている人について取り上げました。
コスト削減や効率的な業務運営を目指す企業にとって、インサイドセールスの果たす役割は非常に重要です。
効率的な営業活動により、売上向上や、 移動費や交通費などのコスト削減に繋がり、収益もその分見込めることができます。
インサイドセールスは、企業にとっても、働く社員にとっても、多くのメリットをもたらす魅力的な働き方です。
既存の営業スタイルでは限界を感じている方や、インサイドセールスを取り入れようとされている方は、今のリソースなどを見ながら、人材の配置などの参考にしていただけますと幸いです。