一般競争入札と指名競争入札の違い|メリット・デメリットを徹底解説!

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「一般競争入札」と「指名競争入札」は、聞き慣れた言葉かもしれません。

しかし、両者の違いを正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。

本記事では、一般競争入札と指名競争入札の違いを、中小企業経営者の皆さまに向けてわかりやすく解説します。

それぞれの入札方式の特徴やメリット・デメリット、そして、中小企業に有利な新取引手法である「少額随意契約」についても、具体的な事例を交えてご紹介します。

一般競争入札とは

一般競争入札は、入札参加資格を満たして入れば、誰でも参加できるオープンな入札方式です。

国や地方公共団体などが、工事や物品の購入などを行う際に、不特定多数の事業者を対象に、最も有利な条件(通常は価格)で契約を結ぶ相手を選ぶための方法です。

入札の流れとしては以下になります。

1.入札参加: A社、B社、C社、D社の4つの企業が、官公庁などが発注する工事や物品の購入  に関心を持ち、入札に参加します。
2.入札価格の提示: 各企業は、自分がその工事や物品を請け負う場合の価格を提示します。
3.契約の決定: 提示された価格の中で、最も低い価格を提示したC社が契約を勝ち取ります。

具体的な例としては、ある市の公共工事の入札が公開され、多くの建設会社が参加するケースです。
こうした場合、競争によりコスト削減や品質向上が図られます。

このように一般競争入札は、より公正で透明性の高い契約を実現するための方法です。

指名競争入札とは

指名競争入札は、一般競争入札とは異なり、官公庁が事前に特定の事業者を指名し、その指名された事業者のみが参加できる入札方式です。

一般競争入札が入札参加資格を持っていれば、誰でも参加できるのに対し、指名競争入札は、発注機関がその工事や物品の調達に適していると判断した事業者に限定されます。

入札の流れとしては以下になります。

1.指名業者の選定: 発注機関が、過去の取引実績、技術力、財務状況などを総合的に評価し、指名する事業者を決定します。
2.指名通知: 選定された事業者に、入札への参加を通知します。
3.入札の実施: 指名された事業者のみが、入札に参加し、価格や条件などを提示します。
4.落札者の決定: 提示された価格や条件などを総合的に評価し、落札者を決定します。

例えば、公共工事において、過去のプロジェクトで優れた成果を上げた建設業者や、特定の技術が必要なITシステム開発では高度な専門知識を有する企業が指名されることがあります。

これにより、信頼性の高い業者に絞り込むことができるため、トラブルの発生を未然に防ぐことが期待されます。

一般競争入札と指名競争入札の違い

一般競争入札と指名競争入札について解説しましたが、ここでは両者の違いを以下にまとめました。

  一般競争入札 指名競争入札
参加資格 広く一般の事業者に公開 特定の事業者に限定
競争性 高い 低い
透明性 高い 低い
適しているケース ・新規顧客を開拓したい
・低価格で高品質なサービスを求める
・多様なアイデアを取り入れたい
・信頼できる業者と安定的な取引をしたい
・専門性の高い仕事を発注したい
・迅速な対応を求める
代表的な例 公共工事の入札、物品購入の入札 特殊な技術が必要な工事、保守、点検業務

一般競争入札は、入札参加資格を満たしていれば誰でも参加できるため、多くの事業者にとって機会が開かれていますが、その分競争が激化しやすい特徴があります

入札情報が公開されているため、高い透明性が保たれています。

特に、初めての実績を積みたい事業者には適した入札方式といえるでしょう。

一方、指名競争入札は、特定の事業者のみが事前に指名されて参加する形式のため、官公庁の基準を満たし、豊富な実績を持つ事業者には落札しやすい方式です。

ただし、参加できる事業者が限られているうえ、指名基準が明示されていないこともあり、一般競争入札に比べて透明性が低い場合があります。

一般競争入札のメリット・デメリット

では、それぞれ、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか以下で解説いたします。
まずは、一般競争入札から見ていきます。

メリット

1.透明性が高く、新規事業者にもチャンスがある

一般競争入札は透明性が高く、全てのプロセスが公開されるため、新規事業者にもチャンスが広がります

この形式では入札の内容や評価基準が公開されることで、参加者が平等に競争できる環境が整います。

新しい企業にとっても競争の場が公平となり、チャンスを活かすことができるのです。

2.入札参加資格さえ取得していればどのような企業でも参加ができる

一般競争入札の最大の特徴は、入札参加資格を取得さえすればどのような企業でも参加が可能である点です。

この仕組みは、公平な競争の場を提供することで、新規参入企業にも大きなチャンスを広げるという目的があります。

入札参加資格を取得するためには、一定の要件や書類の提出などが必要となりますが、この資格を満たすことで、企業は自由に一般競争入札に参加できるようになります。

デメリット

1.手続きが多く、事務作業が増える

一般競争入札は手続きが多く、事務作業が増える傾向にあります

これは、一般競争入札がすべての企業に参加の門戸を開いているため、様々な書類の準備や提出が求められるからです。

そのため、事前の準備や手続きにかなりの時間と労力が必要です。

例えば、入札に必要な書類として「入札資格確認書類」や「価格提示書」、さらには各種証明書の添付が必要になります。

これらの書類を整え、提出するためには多くの労力がかかります。

また、これらの書類の不備や不足があれば、入札自体が無効となるリスクもあります。そのため、事前の十分な準備が不可欠です。

2.大企業との競争になりやすく、中小企業には落札が難しい

一般競争入札では、大企業との競争が激しくなりがちで、中小企業にとっては落札するのが難しいです。

大企業は多くのリソースや優れた提案能力を持っており、価格競争や質の高い提案で有利な立場にあります。

そのため、中小企業が一般競争入札で勝つためには、独自の強みや専門性をアピールするなどの戦略が必要です。

指名競争入札のメリット・デメリット

メリット

1.落札の可能性が高く、長期的な関係を築ける

指名競争入札に参加することで、落札の可能性が高まります

これは、競争相手が限定され、信頼された企業のみが指名されるためです。

例えば、特定のプロジェクトにおいて過去に成功した実績のある企業が再度指名されるケースが多いです。

指名競争入札を通じて、落札を繰り返すことで、発注者と長期的な関係を築くことができます。

2.手続きが簡素化されている

指名競争入札は、手続きが簡素化されています

なぜなら、あらかじめ特定の企業に絞って行われており、参加企業数が限定されているため、入札参加に必要な書類の作成や審査などの手続きが少ないからです。

よって、入札に参加するための準備期間が短縮され、事務作業の負担が軽減につながるでしょう。

デメリット

1.透明性に欠け、指名されなければ参加できない

指名競争入札は、入札情報が限定的に公開されるケースが多いです。

参加事業者以外の企業は、入札内容や評価基準を詳細に把握することが難しく、公平な競争が阻害される可能性があります。

また、実績が浅い企業や新規参入企業は、指名されることが難しく、市場参入の機会が制限されるでしょう。

2.価格競争が働きにくく、価格が上昇する可能性がある

指名競争入札は価格競争が働きにくく、価格が上昇する可能性があります

理由としては、指名競争入札では参加企業が予め指名されるため、競争が制限され、価格競争が少なくなる傾向があるからです。

中小企業に有利な新取引「少額随意契約」とは?

実は、官公庁(国)との取引の中で、競争が少なく、中小企業に有利な新たな取引が存在します。

それは「少額随意契約」です。

この取引は、一般競争入札のように多くの事業者から入札を受けずに、あらかじめ特定の事業者と交渉して契約を結ぶ方式です。

参加者 発注機関が特定の事業者と直接交渉するため、事実上その事業者のみが参加。
競争 入札に比べて競争が少なく、交渉によって契約条件が決定される。
基準 過去の取引実績や信頼関係が重視される場合が多いが、実際の基準は不明確なことが多い。
透明性 一般競争入札や指名競争入札に比べて透明性が低い。手続きが簡素化されているため、外部からの監視が難しい。
採用 契約金額が少額で、迅速な対応が必要な場合や、特定の事業者との継続的な取引関係を築きたい場合に採用されることが多い。

では、この「少額随意契約」のメリット・デメリットを見ていきましょう。

少額随意契約のメリット・デメリット

メリット

1.大企業との競争が少なく、中小企業に有利

少額随意契約は、大企業との競争が少ないため、中小企業に有利な取引だといえます。

また、少額随意契約では、発注者(国)と企業との間で信頼関係を築きやすいのも特徴です。

その信頼関係に基づいて契約が成立するケースもあります。

2.競争入札の参加条件を満たしていない企業でも、契約を獲得できる

少額随意契約は、競争入札に比べて参加条件が柔軟であり、企業の規模や実績が厳しく問われない場合が多いです。

これにより、特定の条件を満たせない中小企業でも契約を獲得する機会が広がります。

3.手続きが簡素なため事務コストを削減できる

少額随意契約は、競争入札や公募を行わない取引方法です。

これにより、入札の準備や審査、評価のプロセスが省略され、書類のやり取りや承認手続きがスムーズに進みます。

そのため、一般競争入札に比べて、効率的かつ効果的に取引を進めることができます。

また、手続きが簡素なため、事務作業にかかる時間と労力が大幅に削減されます。 

4.PULL型の営業スタイルで、労力がかからない

少額随意契約では、企業が発注者(国)に対して積極的に営業を行う必要がなく、発注者(国)から自社の製品やサービスに興味を持ち、情報を求めてくる形式です。

そのため、営業活動にかかる労力やコストを削減できる点がメリットといえます。

デメリット

1.公平性や透明性が不十分であるため、契約獲得のノウハウが必要になる

少額随意契約は、手続きが簡素でスムーズに行える反面、競争入札に比べて選定基準が公開されないことが多く、発注者がどのような基準で企業を選んだのかが不明確になることがあります。

そのため、契約獲得のためには以下のスキルが必要です。

  • 国から自社を認識してもらう広報力
  • 強みをアピールし、国から選ばれる訴求力
  • 契約の流れを把握し、柔軟に迅速に対応する対応力

ただし、上記は少額随意契約に関する知識や経験によって得られるものです。

そのため、専門家や少額随意契約の知識や経験を持った人材からノウハウを学ぶことがおすすめです。

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2.価格や条件での競争チャンスが限られるリスクがある

少額随意契約では競争入札の機会が少ないため、価格や条件で競争するチャンスが限られるリスクがあります。

これにより、自社のサービスや商品を市場にアピールする機会が減少する可能性があります。

そのため、官公庁に自社の魅力を知ってもらう機会を作ること大切です。

官公庁(国)と中小企業の「少額随意契約」取引事例

1.近畿地方(植栽工事)

官公庁からの信頼を獲得し、企業としての評価が向上。

特に、法務局という信頼性の高い組織からの仕事を受注しているという事実は、お客様から高い信頼を得られる一つの指標として認識されており、企業イメージの向上に大きく貢献した。

2.中部地方(総合商社)

自衛隊という特殊な環境において求められる高品質な製品を提供し、高い評価を獲得。

その結果、「今後も継続的にお付き合い願いたい」との依頼をもらい、安定的な取引関係を築くことができた。

3.関東地方(事務用品販売業)

独立行政法人雇用支援機構へ事務消耗品を納入。

安定的な取引先として独立行政法人雇用支援機構に認められ、官公庁との取引実績を築くことができた。

少額随意契約の獲得にはノウハウが必要!

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一般競争入札と指名競争入札に関するFAQ

一般競争入札と指名競争入札に関するよくある質問をまとめました。

これらの質問を通じて、入札の基本的な理解を深め、入札プロセスにおける疑問を解決する助けになりますと幸いです。

Q1. 一般競争入札と指名競争入札、どちらが中小企業にとって有利ですか?

中小企業にとって有利な入札形式は、一般競争入札と指名競争入札のどちらかというと指名競争入札の方が有利である場合が多いです。

その理由として、一般競争入札では大企業との競争が激しくなり、中小企業にとっては予算やリソースの面で不利になることが多々あるからです。

ですが、中小企業に最も有利な取引は、本コラムで紹介した、「少額随意契約」です。

なぜなら、少額随意契約では、特定の条件を満たす中小企業が競争なしに直接契約を結ぶことができるからです。

これは中小企業が大手企業と競わずに仕事を受注する大きなチャンスとなります。

Q2. 指名競争入札で指名されるためには、どのようなことをすればよいですか?

指名競争入札で指名されるためには、まず信頼関係の構築と過去の実績の積み重ねが重要です。

指名競争入札は特定の業者が選ばれ、その中で競争が行われる形式であり、そのため発注者との信頼関係や過去のパフォーマンスが評価されることが多いです。

例えば、過去に同様のプロジェクトを成功させた実績や、品質の高い製品・サービスを提供した経験があると指名される可能性が格段に高まります。

また、プロジェクトに関する具体的な成果や能力を示すためには、定期的に実績を整理し、発注者に提示することが効果的です。

Q3. 入札に参加するには、どのような手続きが必要ですか?

入札に参加するためには、事前準備と手続きが必要です。

入札には企業情報の登録や資格審査など、法的および運営面での基準を満たすための手続きがあります。

これにより、透明性と公平性が保たれます。

具体的には、事前に入札参加資格を取得し、必要な書類を提出する必要があります。また、企業は適切な認可や証明を受けていることが確認されます。

そのため、企業は入札に参加するための手続きをしっかりと理解し、事前準備を怠らないようにすることが重要です。

Q4. 中小企業が官公庁の仕事を受注するために、どのような準備をすればよいですか?

中小企業が官公庁の仕事を受注するためには、事前に入札資格を取得する必要があります。

官公庁の入札に参加するためには、企業が一定の条件を満たしていることを証明するための入札資格が必要です。

また、この資格を取得することで、官公庁との取引の信頼性が高まります。

例えば、東京都の入札に参加するためには、「東京都競争入札参加資格」を取得する必要があります。

この資格を取得するためには、企業の経営状況や業務経験などが審査されます。

入札資格を取得し、定期的に更新することで、官公庁との取引の可能性が広がります。

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