セミナーを成功に導くアイスブレイクの効果とおすすめアイデア8選

はじめに

セミナーでの講演を予定している方のなかには、「参加者の反応が薄かったらどうしよう」「発言を求めても、誰も挙手してくれないのでは?」などと不安を抱える方が多いでしょう。

おすすめなのは、いきなりセミナーの本題に入るのではなく、アイスブレイクで雰囲気を和ませてからスタートさせることです。参加者の緊張を解くことでセミナーに前向きに臨んでもらえるようになり、結果としてセミナー全体の満足度向上につながりやすくなります。

本記事では、セミナー冒頭で効果を発揮する「アイスブレイク」について、おすすめのアイデアや実施時の注意点を紹介します。初めて講師としてセミナーに登壇する方や、参加者の満足度向上に悩んでいるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

セミナーにおけるアイスブレイクの効果

セミナーの冒頭でアイスブレイクを実施すれば、以下のような効果が期待できます。

  • 場の空気を和らげる
  • 積極的な発言を促せる
  • 相互理解が深まる

それぞれの効果について、具体的に解説します。

場の空気を和らげる

講演者と参加者の間においても、参加者同士の間においても、セミナーはお互いの関係を築くことなく開始されることがほとんどです。そのため、いきなり本題に入っても参加者が講演者に親近感を感じていなかったり、グループワークで相手のことをまったく知らなかったりといったケースは珍しくありません。

お互いのことをほとんど知らない状態では、お互いに緊張してしまい、実りあるセミナーにはなりにくいでしょう。しかし、ゆっくりと関係を築くほどの時間はありません。アイスブレイクであれば、セミナー冒頭に短時間で実施できるうえ、お互いについて知ることで場の空気が和らぎ、参加者がリラックスして臨めるようになります。

積極的な発言を促せる

アイスブレイクを通じてお互いの関係性を作ることで、参加者の積極的な発言を促せるようになります。

例えば、グループワーク形式のセミナーでは簡単なゲームなどを実施することで緊張がほぐれ、その後の進行がスムーズになるでしょう。

また講演形式のセミナーでも、講演者が自分の素性をほとんど明かしていない状態では、質問を投げかけても参加者の手は挙がりづらいはずです。アイスブレイクを通して自分をさらけ出したり、相手に知ってもらったりすることで、参加者との距離が縮まり、積極的な質問・発言につながります。質問に答えきれないくらいの状況になれば、参加者は「もっとこの人の話を聞きたい」と感じ、セミナーの成功率が向上します。

相互理解が深める

セミナーは開催形式にかかわらず、「当日その場にいる人同士の関係づくり」が大切です。

講演形式のセミナーであれば、講演者と参加者の関係性が重要です。講演者がどのようなバックグラウンドを持った人なのかが伝われば、より親近感を持ってもらえたり、講演の内容に対する信頼度が増したりします。

講演者にとっても、参加者がどのような属性の人たちなのかがわからなければ、セミナーをスムーズに進行できません。参加者の人物像を把握することで、緊張がほぐれやすくなるほか、ニーズに合わせた話し方ができるようになります。「うまく伝わるのかな?」と余計な不安を抱えたままでは、落ち着いて話せないでしょう。簡単なアンケートを挙手制などで実施すれば、参加者の人物像がつかめるはずです。

グループワーク形式のセミナーであれば、進行役だけでなく参加者同士の相互理解を最初に深めてもらうことで、その後の討論がよりよいものになるでしょう。

セミナー中にアイスブレイクを行う参加者

講演形式のセミナーで使えるアイスブレイク4選

セミナーやウェビナーで使えるアイスブレイクとして、まずは講演形式におすすめなアイデアを以下4つ紹介します。

  • 自己開示
  • クイズ
  • 簡易アンケート
  • 心理テスト

自己開示

「自己開示」とは、その名の通り講演者自身の情報を開示することで参加者に自分を知ってもらうというアイスブレイクです。年齢や職業といった基本情報に加え、できるだけ親しみを持ってもらえるようプライベートな情報も盛り込んだほうが効果は大きいでしょう。例えば、飼っているペットや好きな食べ物、旅行で最近訪れた場所などです。

ポイントは、話のなかに誰でも知っているような固有名詞を入れることです。例えば、好きな食べ物であれば「○○(ブランド名)のチョコレートケーキが好き」「いつも○○(デパート名やショップ名)で買う」などとします。参加者の多くが知っている固有名詞が入っていれば、より親近感を持ってもらいやすくなります。

講演者自身が参加者と同じ目線に立ち、自分をさらけ出すことで、参加者にとって質問や発言がしやすい空気ができあがるでしょう。

クイズ

クイズも講演形式のセミナーで使えるアイスブレイクの1つです。少し難しい問題を出して参加者の興味を惹いたり、簡単な問題を出して多くの参加者の発言を引き出したりといったアプローチが考えられます。セミナーに関連するジャンルのクイズであれば、より参加者に興味を持ってもらいやすいでしょう。

ただし、いきなり難しい問題の回答を特定の参加者に求めると、逆に緊張感が高まってしまう可能性もあります。回答を挙手制にしたり、参加者に対しては問いかけるだけで回答は講演者が話すようにしたりと、工夫が必要になります。

簡易アンケート

気軽に実施できるアイスブレイクとしておすすめなのが、簡易アンケートです。会場を設けてのセミナーであれば「手を挙げてもらう」、オンラインで実施するウェビナーであれば「投票機能を使う」などといった方法で簡単に実施可能です。

アンケートを通して参加者に「手を挙げる」「クリックする」といった動作をとってもらうことで、緊張がほぐれやすくなります。また、経歴や出身地など参加者の属性を問うアンケートを実施すれば、「自分と同じような参加者が大勢いる」などと感じられ、リラックスしやすくなるでしょう。

特にウェビナーであればツールによって結果を一覧表示することも可能であり、参加者の気持ちを盛り上げやすい手法の1つです。

心理テスト

クイズやアンケートと並び、心理テストも講演形式のセミナーに適したアイスブレイクの1つです。同じ回答を選んだ参加者同士で親近感が生まれたり、ゲームのような感覚で楽しむことで講演者と参加者の距離が縮まったりといった効果が得られます。

セミナーの内容と関連のある心理テストを実施すると、さらに効果が高まります。書店の心理テストコーナーに行けば豊富なアイデアが見つかるはずなので、1度探してみましょう。心理テストと伝えれば、参加者は「回答の結果によって何がわかるんだろう?」「今回のセミナーとどう関係するんだろう?」と疑問に感じ、興味を持ちやすくなるはずです。

解説によって「なるほど」と思ってもらえれば、その後の講演にもスムーズに進めるでしょう。

グループワーク形式のセミナーで使えるアイスブレイク4選

グループ形式のセミナーでは、参加者同士が関係を構築できるようなアイスブレイクがおすすめです。ここでは以下4つのアイデアを紹介します。

  • 積み木自己紹介
  • 他己紹介
  • 共通点探し
  • GOOD&NEW

積み木自己紹介

積み木自己紹介は、数あるアイスブレイクのなかでも定番と呼べるものです。グループのなかで自己紹介をする際、先に自己紹介した人の内容に自分の自己紹介を足していくという流れで実施します。

例えば、名前で積み木自己紹介をする場合は以下のようになります。

  1. 「佐藤です。」
  2. 「佐藤さんの隣の田中です。」
  3. 「佐藤さんの隣の田中さんの隣の鈴木です。」
  4. 「佐藤さんの隣の田中さんの隣の鈴木さんの隣の森です。」

人数が少なく、簡単だと感じるようであれば、名前だけでなく出身地や趣味などを足していきます。ゲーム性も高まるうえ、お互いについて知るよいきっかけになります。

他己紹介

他己紹介は、グループのなかで2人組のペアを作り、それぞれの相手をグループ全体に向けて紹介するというものです。相手のことをよく理解する必要があるため、積極的な情報交換が促されます。

お互いに軽く自己紹介をしたあと、一方が聞き役に回って2~3分程度のインタビューを行ないます。その後、役割を交代してもう一方のインタビューが済んだら、グループのほかのメンバーに対してペアの相手を紹介するという流れです。

多くの時間がとれない場合は、お互いの自己紹介だけをもとに発表する方法をとることで、時間を短縮しながら「1度で情報を覚えきれるか」といった形でゲーム性を高めることも可能です。

共通点探し

共通点探しは、2人組のペアを作り、制限時間内にお互いの共通点をどれだけ見つけられるかを競うというアイスブレイクです。制限時間というゲーム性に加え、共通点が見つかることで相手に対して親近感を抱きやすくなるという効果があります。

ほかにも、グループ全員に一致する共通点をいくつ見つけられるかといった形で、グループ同士で競うことも可能です。メンバーとの共通点を把握できていれば、その後の会話が弾みやすく、グループワークでの討論も活発になるでしょう。

GOOD&NEW

GOOD&NEWは、直近の24時間や1週間など一定の時間・期間で体験した「よかったこと・新しいこと」を発表し合うゲームです。参加者がどのようなことに喜びを感じ、どのような新しい体験をしたのかがわかり、より相手への理解が深まります。

話す内容がポジティブな体験であるため、前向きな気分でセミナーに臨めるようになるのもポイントです。発表に対する質問タイムなどを設ければ、より盛り上がりやすくなるでしょう。発表内容に対しては必ず肯定的に受け止めるよう、事前にルールを決めておくのがおすすめです。

それぞれの身に起きたポジティブなニュースを聞けば、前向きな姿勢でその後のグループワークに臨めるはずです。

セミナーのアイスブレイク後にディスカッションを行う参加者

セミナーでアイスブレイクを行なう際の注意点

さまざまな効果を発揮するアイスブレイクですが、実施する際には以下の3点に注意が必要です。

  • 本題から外れすぎない
  • 時間を長くとりすぎない
  • 全員の注意を引くネタにする

それぞれの注意点について解説します。

本題から外れすぎない

アイスブレイクは、講演者と参加者および参加者同士の相互理解を深め、お互いにリラックスした状態でセミナーを進めるために行ないます。あくまで本題に入る前の「空気を和ませる役割」であるため、本題から外れすぎないことが重要です。

セミナーのテーマから大きく離れた話題について長く話してしまったり、講演形式のセミナーにもかかわらず参加者同士で自己紹介をさせたりなど、参加者が違和感やストレスを感じてしまうアイスブレイクになっていないか事前に確認しましょう。

例えば、クイズや心理テストを取り入れる場合であっても、できるだけセミナーテーマに即したものを探すようにすれば、参加者の興味を惹きやすく、アイスブレイクとしての効果も高まります。

時間を長くとりすぎない

セミナーの導入として効果を発揮するアイスブレイクですが、時間を使いすぎないことも大切です。アイスブレイクが盛り上がってくるとそのまま続けたくなりますが、ある程度積極的に発言が出てくるようになれば目的は達成しています。アイスブレイク自体がどれだけ盛り上がっても、その後のセミナーが充実したものにならなければ意味がありません。

講演形式のセミナーであればアイスブレイクは3分程度、グループワーク形式のセミナーであれば5~10分程度に収め、スムーズに本題に入れるよう構成しましょう。

全員の注意を引くネタにする

アイスブレイクのネタが参加者の大部分に響くようなものかどうかは事前によく確認しましょう。一部の参加者の共感しか得られなければ、「早く本題に入ってほしい」と感じる人が増え、逆に盛り下がってしまう可能性があります。

特に簡易アンケートやクイズなどを取り入れる場合、主な参加者層に響く内容かどうかを事前によく見極めることが大切です。より多くの参加者を巻き込むことで、場の空気をやわらげ、積極的な発言を促すというアイスブレイク本来の効果を発揮しやすくなります。

まとめ

本記事では、セミナー冒頭で効果を発揮する「アイスブレイク」について、おすすめのアイデアや実施時の注意点を紹介しました。アイスブレイクには、セミナーの本題に入る前に場の雰囲気を和ませ、参加者の積極的な参加を促すという重要な効果があります。

講演形式やグループワーク形式など、一言でセミナーといってもその形式はさまざまです。クイズやアンケート、他己紹介、共通点探しなど、セミナーの形式に合ったアイスブレイクは何かを考え、参加者満足度の向上につなげましょう。

セミナーの講演となると、どうしてもセミナーの内容ばかりに気を取られがちです。しかし、どれだけよい内容を用意しても、参加者との関係が築けていなければ心に響くセミナーにはならないでしょう。講演者自身がリラックスしてセミナーに臨むという目的も兼ね、アイスブレイクをうまく活用してセミナーを成功に導きましょう。

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