
目次
はじめに
リード獲得は、ビジネスを発展させるために実践するマーケティング活動の入り口であり、重要なプロセスです。リード獲得においてはさまざまな手法が存在しますが、セミナーの開催はそのうちの1つとして、近年、あらゆる企業が有効に活用しています。
そこで本記事では、リード獲得の基礎知識や、セミナーがリード獲得に有効な理由に触れながら、セミナー開催の手順や、セミナーの活用でリード獲得を成功させるポイントなどについて、詳しく解説します。
リード獲得の基礎知識
リード獲得にセミナーを活用するには、そもそもリード獲得とは何かといった基本事項をはじめ、その目的やポイントを理解する必要があります。以下より、それらについて解説します。
リード獲得とは
リード獲得とは、セミナーの開催をはじめとするさまざまなマーケティング施策により、近い将来に成約の可能性があるお問い合わせなどの見込み顧客情報(=リード)を獲得することです。
リードジェネレーションとも呼ばれ、ビジネスを発展させるための事業活動における重要なプロセスとして、あらゆる企業が力を入れています。
リード獲得の目的
リード獲得における最大の目的は、新規顧客を増やすことによる、売り上げの拡大です。
企業が永続するためには、常に新規顧客を獲得しなくてはなりません。特にBtoBビジネスの場合、BtoCマーケットに比べて限られた母数のなかで、いかに激しい競争を制して自社の顧客を確保し、他社と比べた優位性を保つかが事業継続の鍵となります。リード獲得によって将来の顧客を確保し続けることは、ビジネスを安定的に継続するための土台作りです。
リード獲得は、ビジネス発展に向けた売り上げ拡大のための最初のステップとして、その後に続く事業活動のためにも重要な糸口となります。
リード獲得のポイント
効果的なリード獲得を実現するためには、まずKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を目標として設定する必要があります。売り上げの増加額や増加率、さらにはそれらから逆算した具体的なリード獲得件数など、明確な数値目標を定めることで、関係者の意識を統一し、効果的に施策を進めることが可能です。
また、リードとなるターゲットを明確にすることも重要です。ターゲットによって有効な施策が変わってくる場合があるため、ターゲットが明確になっていないと、マーケティング活動が非効率となる恐れがあるからです。ターゲットの明確化により、あらゆる活動において一貫性を保ちながら、訴求を最大化させることが可能になります。
さらに、リード獲得単価をはじめ、費用対効果を意識することも大切です。リード獲得単価とは、リード獲得1件当たりにかかる費用のことです。定められた予算内で効率的にリードを獲得し、KPIを達成するためにも、費用対効果を常に意識しながら効果測定や分析を実施し、その結果をフィードバックして施策の改善を続ける必要があります。

セミナーがリード獲得に有効な理由
昨今、セミナーはリード獲得に有効な手段として注目されています。その理由としてまず、担当者名やメールアドレスなどのリード情報を、効果的に収集できることが挙げられます。セミナーの参加には氏名や所属先情報が必要なため、ターゲットに疑問や懸念を抱かせることなく、自然な形でリードのプロフィールが集められるのです。
また、一般的にセミナーは1度の開催で多くの参加者を募るため、複数のターゲットと効率的にコミュニケーションが図れます。ホールなどの会場で行うリアルなセミナーはもちろん、オンラインで開催するウェビナー形式であれば、人数制限などを気にする必要がなく、より多くのターゲットとの接触も可能です。
さらに、そのようなコミュニケーションにより、信頼関係を築きやすいというのも、セミナーがリード獲得に有効な理由の1つです。顔が見えない電話やメールなどと違い、素顔を含めこちらの素性を明かしたうえで、双方向的なコミュニケーションが可能なため、ターゲットも心理的抵抗が小さくなり、本音で課題やニーズを語ってくれる可能性が高くなります。
リード獲得に有効なセミナー開催の手順
リード獲得にセミナーを有効活用するためには、開催までの基本的な手順を、1つずつ確実に進めることが重要です。以下より、リード獲得に有効なセミナー開催の手順について、順に解説します。
企画立案
まず、セミナーの目的やターゲット、さらにはターゲットの課題やニーズを明確にしたうえで、テーマや内容を検討し、企画を立案する必要があります。
「何のためにセミナーを開催するのか」「ターゲットは誰なのか」「ターゲットの課題やニーズはどのようなものなのか」「セミナー後にどうなってほしいのか」など、セミナーの目的やターゲットにまつわるこれらの疑問に答える形でテーマを検討し、内容を詰めていくことが重要です。前述した、リード獲得に関するKPIなども、ここで明確にします。
目的やターゲットは、この後に続く開催までのプロセスや、開催後のアフターフォローなどにおいて、一貫性を保ち、効果を最大化させるためにも重要な要素です。最初の企画立案プロセスで明確にしたうえで、関係者の意識を統一しておくことが大切です。
事前準備
企画立案後、それを基に、セミナーの開催に向けて準備を進めます。セミナー日時・講師・スタッフなど、事前準備における検討内容や決定事項は多岐にわたります。また、リアル開催かウェビナー形式か、リアル開催の場合は会場などの手配、ウェビナー形式の場合は配信ツールの決定など、開催方法についても詳細を詰めることが必要です。
万全に準備しておくことが、セミナーの成功、ひいては効果的なリード獲得に繋がることを関係者全員が理解し、抜かりなく進めることが重要です。
告知・集客
セミナーの告知や集客の方法には、リスティング・バナーなどのWeb広告、ランディングページ(LP)をはじめとした自社サイト運用、ダイレクトメール(DM)送信、SNSの活用、セミナーポータルサイトの利用など、さまざまなものがあります。
開催するセミナーの内容や、自社のマーケティング戦略などに基づいて、適切な方法を選定することが重要です。また、告知・集客は、リードとなるターゲットとの最初の接触であり、セミナーのイメージを決定付ける重要なポイントとなるほか、まさにリード獲得のための第一歩でもあるため、その内容や進め方には十分に注意する必要があります。
開催
参加者が集まったら、いよいよセミナーの開催です。開催当日は、予期せぬ事故やトラブルが発生することも想定し、余裕のあるタイムスケジュールを設定しておくことをおすすめします。また、セミナーが長時間にわたる場合は、「飲料を用意する」「休憩を挟むなどの配慮も忘れない」といった配慮も大切です。特にリアル開催のセミナーでは、休憩中のコミュニケーションがきっかけとなって関係性が深まり、以後の取り引きに繋がる可能性もあります。
また、スムーズな進行のためにも、開催当日までにリハーサルを重ねておけば安心です。机上では気付かなかった問題や不備が、リハーサルによって露呈することもあります。
アフターフォロー
セミナー開催後のアフターフォローは、リードナーチャリング(リードを成約に繋げるための取り組み)など、リード獲得後のあらゆるマーケティング施策のきっかけとなる重要なプロセスです。
セミナーの参加に対するお礼メールや、印象や感想を伺うアンケートはもちろん、自社サイトへの誘導・問い合わせや見積もりの勧め・商談の誘い・次回セミナーの案内など、成約に向けた次のアクションを促すためのアプローチを確実に実施することで、その後の成果が大きく変わってきます。
リードナーチャリングにセミナーを活用するメリットや成功ポイント

セミナーの活用でリード獲得を成功させるポイント
セミナーの活用によってリード獲得を成功させるには、押さえておくべきポイントがいくつか存在します。それらを確実に把握し、実践することで、成功に繋がる可能性が高くなるのです。以下より、セミナーの活用でリード獲得を成功させるポイントを紹介します。
目的とターゲットを明確にする
セミナーの目的とターゲットを明確にすることで、準備や集客など、あらゆる手順やそのための施策が一貫したものとなり、セミナーの開催を効率的かつ効果的に実現することが可能です。特にリード獲得の第一歩となる集客においては、明確な目的とターゲットによってぶれが生じにくくなり、質の高いリードが獲得できる可能性が高まります。
また、目的を達成するための要素として、リード獲得のための明確な数値目標であるKPIを設定しておくことも大切です。これにより関係者の意識を強固に統一し、さらに効果を高められる可能性があります。
綿密なアフターフォローを実施する
セミナー開催後、リード獲得を有効で確実なものにするためにも、綿密なアフターフォローの実践が非常に重要です。参加へのお礼メール・事後アンケートをはじめ、成約に向けた次のアクションを促すアプローチを確実に実施します。リードナーチャリングなど、以降のマーケティング施策や営業活動のきっかけにもなります。
特に、事後アンケートでは、回答によって参加者の温度感を素早く見極め、必要に応じてフォローメールや商談といった次の施策を迅速に実践することが大切です。首尾良くこれらを実現するためには、あらかじめ適切なカスタマージャーニー(実際に成約に至るまでの一連の体験)を設計し、それに応じたセミナー運営側の施策フローを確立しておく必要があります。
セミナー以外のリード獲得手法
リード獲得に有効活用できるセミナーですが、それ以外のリード獲得手法についても理解のうえ、セミナー開催と並行して実践することで、シナジー(相乗効果)を生み出すことが可能です。それによって、リード獲得数や成約率がより大きくアップすることも期待できます。そこで、以下より、セミナー以外の主なリード獲得手法を、順に紹介します。なお、これらはセミナーの集客手法としても活用可能です。
テレマーケティング
テレマーケティングは、電話を使用してターゲットと直接コミュニケーションすることで、リード獲得を図る手法です。多くの場合、会員情報や企業リストなどに基づき、ターゲットを選別してアプローチします。
セミナーよりも手軽に実施することが可能で、直接会話することにより、多岐にわたる詳細な内容を伝えられるというメリットがあります。一方、相手の都合を無視して時間を頂戴しなければならないというデメリットがあり、電話によるコミュニケーションを好まない人も少なからず存在するため、注意が必要です。
展示会
イベントホールなどで開催される展示会は、出展によって自社の製品・サービスなどを紹介し、ターゲットに直接アピールしながらリード獲得を図る手法です。展示会は、基本的に特定のテーマや内容に沿って実施されるため、手間や時間をかけてそこへ足を運ぶ参加者は、そのテーマや内容に一定の興味・関心を持っていると考えられます。そのため、効果的に良質なリードを獲得できる手法として、従前より活用されています。
競合の動向調査や、参加者との情報交換なども手軽に行える一方で、訴求のためには、出展内容に他社との差別化やインパクトが必要となるため、セミナーと同様、相応の準備が必要です。
Eメール(ダイレクトメール)
リード獲得にEメールによるダイレクトメール(DM)を活用している企業は以前より数多くあります。テレマーケティングと同様、会員情報や企業リストなどに基づいて、自社の製品やサービスに関する内容のメールを一斉に送信し、反応を待つという手法です。
セミナーに比べ、ダイレクトでピンポイントなアプローチが可能なプッシュ型の手法であるため、その内容を個別のターゲットに合わせて自由にカスタマイズし、訴求を最大化させることが可能というメリットがあります。一方で、さまざまなEメールが数多く飛び交っている昨今、読まれずに放置されてしまう恐れも大いにあり、タイトルや文面などに十分な工夫が必要です。
リスティング広告
リスティング広告は、GoogleやYahooといった検索サイトを利用した際に、入力されたキーワードに関連した広告を表示する手法です。キーワードには、ユーザーの意図やニーズが内在していると考えられるため、それに応える広告を適切に表示できれば、サービスページなどへの誘導によって、リード獲得を効果的に実現することが可能になります。
Webの特性を活かし、効果測定や分析を丁寧に実施することで、ブラッシュアップしながらより効果を高められますが、セミナーのようにターゲットとの直接的なコミュニケーションは困難なうえ、一定の成果を上げるためには相応の投資が必要となるなど、費用対効果を慎重に見極める必要があります。
SNS広告
Facebook・Twitter・InstagramなどのSNSに広告を出稿し、リードの獲得を図る手法です。セミナーよりも手軽に開始できるうえ、日常的にSNSを活用している膨大な数のユーザーに訴求できれば、多くのリードが獲得できる可能性があります。
また、SNSの特性である拡散が起これば、さらに多数のリード獲得が期待できます。一方で、SNSには炎上やアカウント停止などのリスクがある上、適切なターゲティングを実施しないと無駄な投資となってしまう恐れもあり、運用には相応の知見とスキルが必要です。
ランディングページ
自社の製品やサービスの内容を紹介したランディングページ(LP)を制作し、リード獲得を目指す手法です。セミナーの開催と並行して実施することで、シナジーを高めやすい手法と言えます。
掲載内容を自由に調整できるなど、柔軟性が高い一方で、効果の高いランディングページを実現するためには、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)やLPO(Landing Page Optimization、ランディングページ最適化)などをはじめとする相応のスキルやノウハウが必要です。また、成果が出るまでに数ヶ月以上の長期を要する恐れがあります。
まとめ
以上、リード獲得の基礎知識や、セミナーがリード獲得に有効な理由に触れながら、セミナー開催の手順や、セミナーの活用でリード獲得を成功させるポイントなどについて、解説しました。
リード獲得にセミナーを活用する流れは、今後も続くばかりか、日々多くの企業が新たに参戦し、さらに加速していくものと予想されます。本記事を参考に、セミナー開催の手順を理解し、ポイントを押さえて有効にセミナーを活用しながら、ぜひ多数のリードを獲得して、売り上げの拡大やビジネスの発展に繋げてください。