ビジネスマンが押さえておくべき思考法はロジカルシンキング

はじめに

私生活、ビジネス問わず、常に目標や課題、悩みがあるものです。課題や悩みにぶつかった時、逃げるか乗り越えるか、どちらかの選択肢があると思います。事柄にもよりますが、逃げればまたいつか同じ課題や悩みにぶつかることにはなるでしょう。結局、乗り越えるしかその先はありません。

事象の大きさに関わらず課題や悩みを解決しながら目標を達成していく訳ですが、そこには「考えること」が必要とされます。簡単に答えが見つかる時といつまで考えても答えが見つからない場合がありますが、同じ考え方を続けていても答えは見つかりません。

今回は「考え方」にフォーカスを置きますが、なぜ考え方が重要なのでしょうか。考えが整理されると自分自身だけではなく、聞き手や相手にもわかりやすく伝えることができます。また問題が発生した時に、問題解決や解決案の策定をするに当たって考え方を意識して整理し、行動すれば説明がしやすく、周りも納得感を得ることができます。ビジネスのみならず、私生活においても同じで、考え方のプロセスを使い分けることができれば、物事の本質や今必要なことを見抜くことができます。

例えば、ビジネスシーンであるセミナー開催での場面を考えてみましょう。セミナーは、様々な目的で開催されていますが、課題を持ったセミナー参加者に対し、セミナー主催者が解決策を与える場であることが多いです。課題に対し、解決策を提示し、参加者に納得感を得てもらうためには、解決策を導き出す方法に矛盾や無理がないかどうかが重要となってきます。つまり無理や矛盾のない解決策を導き出すために、「考え方」が非常に重要なのです。

 「考える」と一言で言いますが、目標を達成するためには3つの思考力が必要だと言われます。次に具体的な考え方3つをご紹介します。

ロジカルシンキング(論理的思考)

垂直思考法とも言われます。実際に出た結果や原因、数値などのデータから合理的に理解し、それに基づいて深堀して考え、一つの答えを出すということです。自分の予想や都合のよい考え方ではなく、実際の因果関係を正確に理解した上で考えなければ、正しい答えが見つかりません。目標を立てて、事実に基づき、最短距離で向かうことができる施行法だと言えます。物事を整理して考えることです。ビジネスをうまく進めるためには基本となる考え方です。

だからと言って、論理的にだけ考えればよいというものではありません。論理的な思考があるのをベースとして、世の中は論理的なことだけでは解決できないことが多くあります。そこには、心を持った相手(人)がいること、外部要因があることを忘れてはいけません。

 ロジカルシンキングを行う上で使えるフレームワークは以下の三つとなります。

ピラミッド構造

ロジカルシンキングにおけるピラミッド構造

ピラミッド構造とは、話の流れを論理的に組み立てる方法です。

ピラミッドの頂点に話の論点であるメインメッセージを設置し、下段にメインメッセージを支える「キーメッセージ(根拠)」を入れ、主張の正当性を高める根拠を足していきます。

また、上位が主張、下位が根拠の関係となっているため、論理的に繋がります。つまり、ピラミッド構造は「説明・説得」の際に使われることが多いです。

ピラミッド構造のメリット

ピラミッド構造のメリットは以下が考えられます。

  • 提案や話の内容が相手に伝わりやすくなる
  • 説得力が増す
  • 物事を本質的に考えることができる

提案や話の内容が相手に伝わりやすくなることで、コミュニケーションやミーティングがスムーズに進みます。論理的に物事を結んで可視化し、スムーズな意思疎通を図りましょう。

ロジックツリー

ロジカルシンキングにおけるロジックツリー

ロジックツリーとは、ある事柄に対して問題や原因など、構成している層をツリー状に書き出すことで、解決法を導き出すフレームワークです。複雑な事象が捉えやすくなり、「検討・思考」に主に使われます。
ロジックツリーには、以下の4つのタイプがあります。

  • 要素分解ツリー:要素を網羅的に理解するためのロジックツリー
  • 原因追求ツリー:課題に対し根本原因が何なのかを突き止めるロジックツリー
  • 問題解決ツリー:解決したい問題に対して改善策をあげていくロジックツリー
  • KPIツリー:KGIを設定し、それを達成するために中間目標であるKPIを設定します。次にKPIを達成するためのKPIを設定し、日々の細かいアクションプランに落とし込むロジックツリー

KGI:Key Goal Indiatorの略で、最重要目標達成指標を意味し、企業が目指す最終的な定量目標を指す。
KPI:Key Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標を意味し、目標を達成するプロセスでの達成度合いを測るために置く定量的な指標のことを指す。

ロジックツリーのメリット

  • 問題の特定がしやすく、解決策が出しやすい
  • 優先順位を決めやすく、行動に移しやすい

以上のメリットがあります。複雑な事象を整理し、「検討・思考」のために使いましょう。ピラミッド構造とロジックツリーは形が似ていますが、根拠を構成するものと要素を分解するものとで意味が全く違うため注意が必要です。

演繹法・帰納法

ロジカルシンキングの帰納法と演繹法の組み合わせ

演繹法とは、すでに知られている結論、前提から、論理を積み重ねて結論を出す考え方であり、大前提→小前提→結論の形で結論を出します。誰でも知っている結論や前提からスタートして、結論を徐々に導き出していくため複雑なテーマでも結論を出すことができます。
一方で、帰納法とは、複数の事象から結論を導き出す考え方であり、大量のデータや傾向からパターンを発見し、結論に導いていきます。
結論は絶対的な真実ではなく、論理的に正しい推論となるのが、帰納法の特徴です。

クリティカルシンキング(批判的思考)

あえて批判的に考えてみる、客観的に考えてみるということです。批判的と言っても否定することではありません。ビジネスでも一方からしか見ていなければ、思いもしなかった問題が起こることになります。一度立ち止まって、本当に良いのかということを考えてみるということです。枠にはまった考えや思い込みにとらわれず、その事柄に疑問を持ってみることで解決策を導いていく思考力です。あえて批判的に考えてみることで、事前に起こる可能性がある問題点を洗い出し、問題を回避することもできます。

クリティカルシンキングは、自分の主張に説得力を持たせ、相手の行動を促すことができます。上手に使うことで、様々なビジネスシーンを円滑にしましょう。また、数値データから的確な判断をすることができます。前提を疑う、思考の偏りに気づけるように注意深く思考しましょう。
クリティカルシンキングには3つの重要なことがあります。

  1. 本来の目的が正しいか疑問を持ち、本質を見極める
  2. 自分の意見には偏りがあるという前提から主観性を排除し、客観的に考えてみる
  3. 自分では当たり前と思うことでも常に疑問を持ってみる

クリティカルシンキングは問題解決能力を高めることにつながります。

ラテラルシンキング(水平思考)

ラテラルシンキングとは、問題を解決するために固定概念にとらわれず、物事を多角的に考察するための思考法です。一見垂直思考であるロジカルシンキングと似ているようであるが、ラテラルシンキングでは前提すら疑います。

ロジカルシンキングは数学的なのに対して、ラテラルシンキングは右脳を使うような芸術的な能力を使います。論理だけでビジネスがうまくいくなら何も問題はありませんが、みんなが同じことをしても競合との争いが起きますし、その他いろいろな要因で計算通りにはいかないことが多くあります。ロジカルシンキングでは解決できないようなことをラテラルシンキングを使って解決できる場合があります。今までの考え方や枠にとらわれず、別の角度から自由な発想をして解決方法を導き出すという方法です。導き出す答えやアイデアは一つとは限らず複数あっても良いのです。発想力を鍛えることが重要です。新しいアイデアなどで、並みいる競合他社との差別化を図り、競合より一歩抜き出ることができるかもしれません。

まとめ

ロジカルシンキングは必ず必要ですが、AIが進み、論理的に解決できることは機械でもできると言えます。論理的に考える力をベースとして、客観的に見て考える力や発想力やアイデア力を鍛えることは社会で生きていく上で必要な力と言えるでしょう。基本ロジカルシンキングで考え、それに対してクリティカルシンキング、さらにラテラルシンキングをバランスよく使うことで、私生活においてもビジネスにおいても画期的で最適な解決方法を導き出せると言えます。また思考法を身につけることで、感情的になってしまいそうな部分でも落ち着いて考えることができると考えています。知っていても中々上手に使うことができないので、意識することから始めましょう。

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